ふたご座
どうしたって割りきれないもの
道化者ソクラテス
今週のふたご座は、「道化」の極致としてのソクラテスのごとし。あるいは、詐術を駆使してガチンコで向き合うべき相手と向き合っていくような星回り。
例えば愛(エロス)をテーマにしたプラトンの対話篇『饗宴』に登場するアルキビアデスは、容姿端麗で頭脳明晰、血筋も名門といった完全な男でした。彼は欲しいものを思うがままに手に入れ、思い通りにいかないことなどありませんでした。
彼は「あなたは人を愚弄する人間だ」などと絡みつつも、自らにはない知性を有するソクラテスを徐々に認め、ソクラテスも美しい男に目がありませんでしたから、彼に心惹かれます。
しかし、ここまではアルキビアデスの想定内。その流れのままに、アルキビアデスはソクラテスと一夜を共にしようとする。ところが、ソクラテスはなんとアルキビアデスと事にいたろうとしなかったのです。
そうした扱いをされたことのなかったアルキビアデスは衝撃を受け、以後ソクラテスに愛憎半ばする感情を抱いていくことになります。
ただ興味深いことに、文献学に誰よりも通暁していたはずのニーチェは、ギリシャ文化におけるディオニソス的なものを殺した哲学的合理主義の張本人だとしたのです。ある意味で、ここに至って道化としてのソクラテスは完成したのだとも言えるかも知れません。
11日(土)にふたご座から数えて「自己価値」を意味する2番目のかに座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、正反対の意見や評価のはざまに立っていくことで、自分の実像がようやく結ばれていくことになるでしょう。
はみ出しものの系譜
アーティストやクリエイターと呼ばれる職能の歴史を振りかえってみると分かるように、古来より「何を知り、何を為すべきか?」という問いに対し社会が用意する答えや役割にハマらず、余計なことばかり知りたがり、やりたがる者たちによって、「精神」の多様性は耕され、育まれてきました。
彼らはしばしば無法者や乱暴者とされ、お上から規定された定位置から追放され、ふらふらとさまよっているうちに、創造性の種を撒いていったのです。
ふたご座の人たちというのは、12星座の中でも一、二を争う“不真面目さ”を持つ人たちであり、それはある意味で、特定の役割から“はみ出す”ことへの生真面目さでもあるのです。
今週は「~すべき」といった意識の呪縛をできる限りほどいてあげて、可能な限り精神に「遊び」をつくっていくことを心がけてみて下さい。
今週のキーワード
スサノオ