ふたご座
太陽に背いて
ザリガニ・アンストッパブル
今週のふたご座は、タロットの「月」のカードのごとし。あるいは、人生において、またどこかで理性を放棄して、自分の中でどうにも「割りきれない」部分をこそ受け入れていこうとするような星回り。
月が毎夜ミステリアスにその姿を変え、自らを再生していくように、タロットの「月」のカードもまた、なんらかの危機が訪れていること、そして直感に従えば進展が得られることを示しており、単純に喜ばしいカードではありませんが、非常に豊かなものでもあります。
そして、28日(月)にふたご座から数えて「穢れを祓う場所」を意味する6番目のさそり座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、このカードの状況とよく似た重要なターニング・ポイントに差し掛かっているように思います。
ウェイト=スミス版という広く流通しているタロットデッキの「月」のカードには、底なし沼からザリガニが這い上がってきて、長く曲がりくねった道へと向かっている光景が描かれています。
ザリガニは占星術において月を守護星とするかに座のシンボルであり、道の彼方に昇っている月は古い信仰における死者の国の象徴でもあります。
つまり、このカードが出てきたときは、太陽が支配する昼の世界の明晰な理性を放棄して、曲がりくねった道のごとき内なる自己を貫いていく、非合理な冷たい光が必要なことを指し示している訳です。
アリとキリギリス
「瞬間なんか生きないようにしようね。瞬間の凄さとか輝きなど、無益でかりそめの夢のようなものだから。そんなことより、将来のためにいま克己努力し、学業や仕事にはげもう、未来時を大切にしよう。そうすれば、幸福な生活を約束します。」(古東哲明『瞬間を生きる哲学』)
いわゆる「アリとキリギリス」の教訓は、こうした時代遅れの道徳の授業のような現実観(リアリティー像)を植え付けることに一役買っているように思いますが、ここで指示されているアリ的な生き方こそ、まさに「月」に対する「太陽」でもあるのです。
ふたご座の人というのは本能的にそうした現実観を不快に感じやすく、ジタバタしたくなるところがあるのですが、同時にただその「ジタバタ」はつねに新しい関心を追い続けることに終始しがちでもあります。
今週は、もっと身近なところにあるシンプルで素朴な喜びに立ち返っていくことがテーマとなっていくでしょう。
今週のキーワード
瞬間を生きる