ふたご座
アリと黒柳
社会に向けて言葉を放つ
今週のふたご座は、兵役を拒否したモハメド・アリのごとし。あるいは、とっさに訪れた機会において、自身の率直な考えを表明していこうとするような星回り。
「なぁ、俺はあいつらベトコンたちに何の恨みもないんだよ」
1966年3月、報道陣に囲まれたモハメド・アリは自身が放ったこの一言をきっかけに、徴兵拒否とベトナム戦争への表立った反対表明のため、ヘビー級のチャンピオンベルトを剥奪されました。
ボクサーとしての全盛期を棒に振るだけでなく、その地位とともに何百万ドルものお金を失い、借金苦にまで追い込まれたのです。
1967年、徴兵を回避した罪で有罪判決を受けてからも、彼は法廷闘争のかたわら階級差別と人種差別を糾弾する社会運動を続け、メディアの大多数による悪意ある報道の中で「金持ちの息子は大学に行き、貧乏人の息子は戦争に行く。そんなシステムを政府が作っている」と徹底抗戦の構えを取り続けたのでした。
シンプルではあるが力強く、信念がこもっていた彼の言葉や、「蝶のように舞い蜂のように刺す」かのごとく自身の勇気と意見を巧みに表現した彼の姿勢は、社会問題についてはっきりと自身の意見を述べるプロアスリートの先駆けであり、50年以上経過した今でも彼ほどの社会的インパクトを残したアスリートは他にいないでしょう。
そしてこうしたアクティビストとしての彼の在り方は、まさに今のあなたにとってもよき指針となるはず。
他の何にも邪魔されないということ
ここでもうひとり思い出される人物として、黒柳徹子さんを挙げておきたいと思います。
彼女があんなにも長く番組を続けられ、それが人気番組であり続けた理由のひとつは、彼女の言葉が他の何にも邪魔されなかったからではないかと思ったことがあります。
普通なにか言葉をひとつ発するにしても、色々なことを考えてしまう。
相手はどう感じるかなとか、これを言っておけばどんな評価がもらえるだろうかとか、記憶や気分のゆらぎや感覚の訴えなどが、水面上の波紋のようにいくつもいくつも干渉しあってしまう。
けれど黒柳さんの言葉は、明滅するランプのようにはっきりとした言葉で嬉しさや楽しさみたいなものが顕れている時があって、すごくクリアで新鮮だなと感じました。
今週のふたご座は、いろいろな情報の渦の中に置かれるかもしれません。その中で自分の深い部分での「喜び」とダイレクトに反応しているものはどれなのか、しっかりと見極めていきましょう。
今週のキーワード
「蝶のように舞い蜂のように刺す」