ふたご座
得体の知れない誰かの相手をしよう
血の通った求愛
今週のふたご座は、「我も汝(なれ)も秋冷のもの汝を抱く」(藤田哲史)という句のごとし。あるいは、自分だけでは決して充たされ得ないものがあるからこそ、求愛していくような星回り。
「秋冷(しゅうれい)」とは秋になって肌に感じられる冷ややかさのこと。
普通なら「秋冷や」と始めて俳句にするところを、私もあなたも秋冷のものである、と一足飛びに間合いを詰めてから、「あなたを抱く」と畳みかけていく求愛の仕方が面白い。どこか挙動不審な現代人のようでもあり、しかし同時にたまらないほど可愛らしく、人間らしいという気もしてくる。
秋になって次第に空気が澄んでくると、とたんに隣りの人との距離感があいてしまったように感じられて、人恋しい気持ちになる。そしてそれがあんまり募ると、人間でさえ冷気そのもののように孤独な存在になってしまう。
「秋冷のもの」とはそういうことなのかもしれませんし、それは自分だけでは決して気付きえなかったことのはずです。
その意味で6日(金)にふたご座から数えて「他者との出会い」や「パートナーシップ」を意味する7番目のいて座で上弦の月を迎えていく今週は、どんなに滑稽で奇妙な仕方であれ自分なりの必死さで血の通った人間を求めていくことがテーマとなっていきそうです。
困ったら、天を仰ごう
「天は自ら助くる者を助く(Heaven helps those who help themselves.)」
という英語のことわざがありますが、漫画『バカボンド』にも似た言葉として、無謀にもひとりで柳生の城に挑んでいく際に、「(人は笑おうと)天は笑いはしない」というセリフが出てきます。
この場合の「天」とは、「自分の中の何か得体の知れないもの」と言ってしまってもいいかもしれません。こうした天を基準にした態度と対極をなすのは、例えば友だちの反応や、世間がどう思うかどうかで決断を成そうとする態度でしょう。
そういう時というのは大抵が、自分を世界の端っこで縮こまって生きているものと感じており、無意識のうちに自分はきっと幸福にはなれない、というイメージを浮かべてしまっているはず。
その意味で今週は「自分の中の得体の知れないもの」としての他者が、自分にどんな空模様を見せてくれているのか。
そんな基準で誰かと対していくことで、自分を変な仕方で笑わないでいられるようになることをこそ大切にしていきたいところです。
今週のキーワード
天は笑いはしない