ふたご座
身を軽くするということ
夜濯ぎ瞑想
今週のふたご座は、「夜濯にありあふものをまとひけり」(森川暁水)という句のごとし。あるいは、水に流せるものは水に流し、身軽になっていくような星回り。
「夜濯(よすすぎ)」とは、夜に衣服の洗濯をすることで、洗濯物のたまりがちな夏場の季語。
洗濯機の槽内の渦を上から見ながら一息ついている姿が想像されますが、掲句は昭和12年作とのことなので、まだ洗濯機はなく、たらいに水を入れて洗っていたのでしょう。
「ありあふものをまとひけり」は、着るものが残っておらず何か適当にあり合わせの服をひっかけたという意味で、ほとんど下着同然の姿で黙々と作業していたのではないでしょうか。
そうしてどこか瞑想的な時間が流れていく中で、次第に衣服の汚れとともに昼の疲れまで新い流していって、すっと身軽になったような気がしてきたのかもしれません。
そして今週のあなたもまた、そんなひとり夜濯にいそしむ作者の姿にどこか重なっていくところがあるように思います。
もし溜まってしまった疲れや緊張、要らないモノや関係性があるならば、そっと水に流していくといいでしょう。
幻影と残滓
人間というものは、例えどんなに洗練されているように見えたとしても、すべからく太古的なものを引きずっており、したがってその周囲(の人間関係)には、必ずどこかに醜悪で不気味な暗い影が差しているものです。
そうした隠れた側面をふとした拍子に垣間見た者は、わざわざ暴きたてるような野暮な真似までしないものの、受け止めきれずに、自分が見た悪夢を打ち消そうと完全な明るさに満ちた別の関係を夢見ていく傾向にあります。
しかしそれこそ、私たちが日々が洗い流していくべき「終わりなき幻影」と言えるのではないでしょうか。
人はなぜ理性的でないのか。善のみ行わず、悪を為すのか。愚行を繰り返し、最善の意図を見失うのか。そして、なぜどこまでも自分に満足できないのか。
今週のあなたは、改めてこうした問いに立ち返っていくきっかけを与えられているようにも思います。
今週のキーワード
マインドフルネス