ふたご座
純粋贈与と私
かなたじけなさ
今週のふたご座は、「なにごとのおはしますかは知らねどもかたじけなさに涙こぼるる」という西行の歌のごとし。あるいは、圧倒的な「負債」の前に、再び両足を立てていこうとするような星回り。
これは、西行法師が伊勢神宮に参詣した際に詠んだとされる歌ですが、ある意味で、経済的合理性に従って生きるホモ・エコノミクス的感性とは対極にあるもののように思います。
経済がグローバル化し、世界が単一の文化に覆い尽くされた「モノカルチャー」へまっしぐらな現代社会では、すべてを「交換」して生きていくことが基本とされ、経済的合理性や「コスパ」が推奨されて、それ以外のものを忘れさせられていきます。
何を忘れていくのか。
それはおそらく、自分たちが別のところから何か大事なものを「もらっている」という記憶でしょう。
食料であれ、棲み処であれ、なんであれ、基本的に宇宙や地球からの絶対的贈与を受けることで成り立っているはずですが、本来なら贈与であるべきものが「想定外」とか単に「ネ申」の一言で片づけられて、「もらった」という記憶がきれいさっぱり削除されてしまったりする。
その結果として、根本的に自分たちが脆弱な存在で、たくさんの「贈与」を「負債」として抱えることでやっと成り立っているのだという認識や、「おかげさま」とか「ありがたさ」という感覚さえも忘れ去られていっているのではないでしょうか。
その意味で、17日(月)にふたご座から数えて「外部」や「カウンターパート」を意味する7番目のいて座で満月が起きていく今週は、そうした認識や感覚を改めて思い出していくことがあなたの大切なテーマとなっていくでしょう。
ずっとそこにあった自然
少なくとも今週は、なにか未知の領域から未来の恋人や新規の興奮材料を探そうとするのは避けること。
むしろ、ごくふつうの物事や、ずっとそこにあった自然のような、ありふれた日常の中にこそ、インスピレーションや情熱の源泉は潜んでいるのだということを意識する必要があるように思います。
あるいは、孤独や過去をしっかりとくぐっていくことを通じて、心を開ける相手やそんな相手に向き合う喜びは見出されるのだとも言えるでしょう。
今週のキーワード
かたじけなさを思い出す