ふたご座
兆しと必然
風が吹いている
今週のふたご座は、「初蝶のいきほひ猛に見ゆる哉」(小林一茶)という句のごとし。あるいは、復調の兆し。その気炎を思いのままに吐いていくような星回り。
この句を詠んだ文化元年のはじめ、作者はみずからの句日記に「今年革命の年と称す。つらつら四十二年、他国に星霜を送る」と書きとめていました。
この年の干支は60年サイクルの初めの甲子にあたり、それが「革命の年」たる由縁なのですが、決してそれだけでなく、おそらく作者の内的実感としても人生の再スタートを切っていく感覚があったのでしょう。
それまで放浪に身をやつし、どこか孤独の影がついて回っていた一茶の心がなんとなく鎮まって、独身のまま四十を過ぎてようやく家を持つことになり、交際が広がって、俳諧の仕事も安定していったのもこの年でした。
同様に、自分本来のサインであるふたご座で、3日(月)に新月が形成されていく今週のあなたもまた、猛々しく羽ばたく蝶のごとき「いきほひ」を自身の中に呼び込んでいくように、1年に一度のこのタイミングで再スタートを切っていけるはず。
必然性への直観
今週は「自信」ということについて考えさせられるような流れになっていくかもしれません。つまり今あなたは、自分がどんな自分で在ると確信しているのか。
その際、「(自分には無理かも知れないけど)ああなりたいな」とか、「(〇〇に好かれるために)こう見せたい」といった願望にもとづいた自意識や、セルフイメージというのは、「自分がどんな自分で在るか」を覆い隠せはすれど、決して「自信」ということとは関係ではないのだということはよく自覚しておくべきでしょう。
願望は願望でしかなく、魂の自覚(=本来の自信)とは別の回路なのですから。
人間関係で思わず足を掬われるような思いをしたり、さっさと何かを否定することで切り抜けたくなる困難に出くわしてしまうと、つい自分という存在そのものまでかき消されたような気がしてしまうかもしれません。
しかし一方で人間というのは、まったくもって不完全な存在であるがゆえに、「あるべくしてこうなっている」という必然性への直観を抱いていけるのではないでしょうか。
今週のキーワード
羽ばたこうとしなければ蝶も飛べない