ふたご座
テルミンのように
非言語的コミュニケーションの調整
今週のふたご座は、自分で発明したテルミンなる不思議な電子楽器の最高の演奏を夢想するレオン・テルミン博士、あるいはテルミンをめぐる人々の不思議な運命を思わせる星回り。
今回はいつもと少し趣向を変えて、2017年のテーマにも触れていきたいのですが、ふたご座の人の場合、それは「未来の設計図を受信する」こと。そしてそのために、ここ数年で実際に触れて見て感じた現実やそこで抱いた違和感、つながりが出来た人々との関係性やその中での実感をもとに、自分なりに創りだしていきたい未来や理想像のベースとなる土台やその足場となる身体をいざ本格的に整え、地に足をつけていくことが大切になってきます。
ここでいう「受信」とは、あくまでそうした未来へ向けた切り替えが実際に働き出していった結果、起きてくる事態なのです。今年はこれまでの自分を無くしていくつもりで、未来を起動させていきましょう。
運命はディスコミュニケーションを必要とする
テルミンは不思議な楽器で、コンデンサ(蓄電装置)の入った箱に左右1本ずつ短いアンテナがあり、そのアンテナの間で、演奏者が左右の手を動かしながら楽器に手を触れずに演奏していきます。
ドキュメンタリー映画『テルミン』の中で、博士はテルミンの発明について「ラジオをいじっていたらノイズが入り、その原因を調べているうちに、段々ノイズを自由に操れるようになった」ことがきっかけになったと語っているのですが、はじめは雑音に過ぎなかったノイズの連なりに可能性を見出し、新しい音楽、新しい芸術を創出するまでにいたった博士の人生は、2017年のふたご座にとってまさに偉大な先行事例と言えるでしょう。
1928年にソ連からアメリカへ渡り、テルミンの普及に努めていた博士の人生は、1938年に急転直下を迎えます。突如KGBにソ連へ連れ戻され、博士はソ連で軍事研究に従事させられることに。博士は消え、テルミンの音色だけが残ったのです。アメリカでは失踪扱いとなり、やがて死亡説まで流れましたが、1967年になって生存が確認されたことで、博士は世界的な名声を得ます。そして1991年、誘拐により分かたれたかつての恋人であり最高のテルミン演奏家であったクララ・ロックモアとの再会。おそらくソ連にいた間、博士は何度も彼女の演奏を夢見たことでしょう。
事実は小説より奇なりと言います。
今年はどこか、自分の未来の事実とつながっていく回路を開いていくつもりで過ごしてみるといいかも知れませんね。
『テルミン』(スティーヴン・M・マーティン) https://www.youtube.com/watch?v=fAOpVAHwLic
今週のキーワード
レオン・テルミン博士と「テルミン」の数奇な人生、ノイズに未来の可能性を見出す、「未来の設計図を受信する」(2017年)