ふたご座
八雲立つ
際立つオーラ迸るエネルギー
今週のふたご座は、「冬麗や金塊に似て焼餃子」(村越敦)という句のごとし。あるいは、かたまりのような自分を砕いて、エネルギーのほとばしりを感じていくような星回り。
冬の柔らかい日差しの中にどこかのどかさがあることを「冬麗(とうれい、ふゆうらら)」と言いますが、もし上五にこの言葉がなかったら、「なんかヤバい薬でもやってるの?」と思わず疑いたくなるような一句です。
たかが焼き餃子を金塊に喩えるセンスが、どこかラッパーが「金を稼ぐ」と言う時にやる指をこすりあわせる動きで餃子作れるという曲で、昨年末にあらびき団の特番に出演していた「g.a.g」の面々を思い起こさせますが、しかしこの圧倒的な余裕感はどこかクセになるというか……。
少なくとも、卑下と謙遜を混同し、自分の意見は言わない日和見主義を平和主義とうそぶいて、何かと小さくまとまりがちな現代の日本人には、これくらいの自由奔放さはむしろ良い薬になるでしょう。
今週のあなたもまた、どこか掲句のような「伝説の先輩」感が漂いやすいところがあります。少なくとも、いつも以上に際立った‟オーラ”を放っていけるでしょう。
もちろん、そこでふんぞり返ってしまえばただの自我肥大なのですが、そこは大物らしく周囲の心を粟立たせるような、ポジティブなエネルギーを振りまいていきたいところ。
裏切りの神スサノオ
アーティストやクリエイターの歴史をみれば分かるように、古来より「何について知り、如何なることを為すべきか?」という問いに対し、社会が用意する答えや役割にハマらず、余計なことばかり知りたがり、やりたがる者たちによって、「精神」の多様性は耕され、育まれてきました。
例えば日本神話において姉神アマテラスに対し、亡き母を恋慕って泣いてばかりの弟スサノオは、やがて無法者や乱暴者とされ、父神イザナギから規定された定位置(海原の統治)からも追放されて、ふらふらと諸国をさまよった末、出雲へたどりついて結婚し、地上で初めて和歌を詠んだアーティストの元祖となって、創造性の種を撒いていったのです。
スサノオは絶えず際に立って、新たな展開をもたらす神であり、この神の現れによって、秩序は混沌へと、そしてまた混沌は秩序を得ていく訳です。先に触れたようなエネルギーのほとばしりというのも、“自然”から離れる意志の発現であり、神への裏切りに他ならないのでしょう。
そういう意味で、今週はひとつの原点回帰を果たしていくことができるかも知れません。
今週のキーワード
鼻(端)から生まれる