ふたご座
Between the worlds(二つの世界のはざまで)
必要な揺り戻し
今週のふたご座は、「海に来れば海の向こうに恋人がいるようにみな海をみている」(五島諭)という句のごとし。あるいは、海から陸上への進出を改めてやり直していくような星回り。
人は誰であれ、遠くを眺めている時、いい表情になる。ドラマや映画などのラストシーンに頻繁に海が登場するのも、おそらく同じ理由からでしょう。
ただ、海を眺めている人は、決して海を見ている訳ではありません。あくまで海の向こうを眺めているのであり、はるか彼方に心を遊ばせているのです。
地球の歴史を振り返ってみると、これまで陸地が優勢になる「陸盛期」と海が優勢になる「海盛期」とを交互に繰り返してきたそうですが、その中で現在の生物誌を彩る多くの脊椎動物は生物発生以来長きにわたって続いてきた水の生活と別れを告げ、陸上生活に踏み切ってきました。
そういう意味では、生物ヒエラルキーの頂点に立っているはずの人間がいまだに海に後ろ髪を惹かれてしまうのは、進化の過程で取り残されてきた生き物たちの無念や、あえて海に留まることを選んだ生き物たちの愉悦を改めて我がこととして取り込もうとしているからなのかもしれません。
今週は、これまでにしてきた選択を振り返りつつ、できなかったことや潰えた夢の無念を明らかにし、できたこと叶えられたことの悦楽を引き継ぐことで、これから先のビジョンの輪郭を改めて整えてみるといいでしょう。
魔女のお仕事
アニメや漫画などで頻繁に「魔女」を目にするようになり、かえって余計なイメージが付着するようになり過ぎてしまいましたが、もともとその活動の本質は「自然と人間との豊かで真実味のあるかかわりあいの回復」にありました。
例えば、月について学校の理科の教科書で勉強していくと、そこには岩石のかたまりとしての月のことしか書いてありません。
確かに科学的に証明できる事実に基づいて月を説明しようとする限りにおいて、それは間違いではありませんが、その説明で私たちの心や体が癒されたり、明日を生きるための糧を得たりすることはまずないでしょう。
陸地の向こうに海があるように、科学の世界の向こうには必ずめくるめく神話とファンタジーの世界が広がっているのであり、かつて夢見られた夢の中に得られるヒントやビジョンの重要性は今日ますます高まっているように思います。
心理学者のユングはかつて、「一義性は弱さのしるし、対立を抱え込むことこそが強さである」と述べましたが、この言葉はまさに今週のふたご座のためにあると言っていいでしょう。
今週のキーワード
魔女の語源例→Hexe(垣根の上を飛ぶ女)