ふたご座
存在としての純度を高める
新たになって走るとき
今週のふたご座は、「新走色なき色の澄みわたる」(山内繭彦)という句のごとし。あるいは、自分の新しい楽しみ方を試していくような星回り。
「新走り」とは、出来立ての新酒のこと。それがまるで秋風のように澄みわたっているという。
これは「色なき風」が胸のうちのすべてを晒すような無色透明の秋風のことを意味することを知っていると、より一層腹に落ちてくるように感じられる一句です。
今のあなたもまた「色なき色」のごとく、これまでの自分や過去の蓄積なんてすべて風で吹き飛ばして、純然たる自分自身となっていけばいい。
まだ味が若いのは百も承知。
「色なき色」だから透明のことだろうだなんて論理ではとても割りきれない、存在として発揮しうる溢れんばかりの質感をできる限り余計な「雑味」や「割りもの」をまじえずにただただ振り絞っていくこと。
それが今週指針とするべき、あなたなりの新たな日々の楽しみ方となっていくでしょう。
内なる子供の声を聞こう
「遊びをせんとや生まれけむ 戯れせんとや生まれけん」という梁塵秘抄の有名な歌の箇所には、「遊ぶ子供の声聞けば 我が身さえこそゆるがるれ」という続きがあります。
これは前半だけ聞くと、遊女が自分の境遇を見つめて、こんな風に遊びや戯れのようなことばかりするために自分は生まれてきたのかと疑問を感じている歌に思えますが、実はいまだに解釈が分かれているのだそうです。
しかし続き部分まで読んでいくと、むしろ禁欲生活をしてきた出家者が、子供が無邪気に遊ぶ声を聴いて、自分の揺れる心を歌っていると解釈した方が自然に思えます。
いずれにせよ、子供の声にも真剣に耳を傾け向き合うという行為は、今週のあなたにとって最高の禊ぎとなるでしょう。
見栄を捨て、アホみたいになれるかどうかが時に大きな運命の分かれ目となるのです。
今週のキーワード
色なき色