やぎ座
身の丈に合った現実
自己コントロールの効用
今週のやぎ座は、「一合の酒いつぽんの山桜」(奥名春江)という句のごとし。あるいは、ちょっと寂しくて、ちょっと満ち足りたひとときを噛みしめていくような星回り。
ひとり山へでかけ、コンビニで買ったカップ酒でも片手に野生の桜を眺めているのでしょうか。それも、自分の気に入った樹をひとつ決めてじっくりと見入っている。そこには人恋しさや貧しさゆえの哀れさなどは、微塵もありません。
掲句から連想されるものとして「起きて半畳寝て一畳、天下取っても二合半」なんて言葉もありますが、実際、真の意味で成功している経営者や政治家などは、質素な暮らしを心掛けている人がほとんどです。
おそらく、どんなレベルの組織であれ、上に立つ者が欲を出していくと、下の者もまたそれに呼応するように私利私欲に走り始めるということを経験からよく知っているのでしょう。
同様に、自分をコントロールできなくなって、何をしてもダメになっていく時というのは、自分の欲望の中にいつのまにか他者の欲望が混ざり込んで渦をまいているもの。
今週のあなたもまた、掲句のようにちょうど自分の手におさまるくらいの現実を見出し、それに満ち足りていくこと。そうすることで改めて、自分本来の調子を取り戻そうとしているのだと言えます。
家康の経営哲学
「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず」
と言い残したのは徳川家康でした。この一言だけでも、彼が徳川300年の礎を築きあげた、確かな経営哲学の持ち主だったことがうかがい知れます。
人の負っている「重荷」とは、普通に見れば他人からの期待であり、より深く見ていけばすべて神様からの愛情にほかなりません。家康はそのことをよく理解した上で、そう来るならば、慌てず急がず、確実に背負える分を見極めてみせよう、ということを自身の指針としたのでしょう。
深い計らいやこの世の法則を汲みとるセンス。その一点だけでも、やはり家康は日本史上でも傑出した人物であり、今週のやぎ座はそんな家康から、大いに学ぶことができるはずです。
今週のキーワード
法則を知る