やぎ座
心身の冴え
解像度をあげる
今週のやぎ座は、「温室とぢて天体幽に霜冴ゆる」(飯田蛇笏)という句のごとし。あるいは、漠然とした気持ちが、次第に輪郭のはっきりとした欲求や意思へと変わっていくような星回り。
「冴ゆ」とは、寒さでものが澄み切ってくることをいう冬の季語。
人間関係であれ、環境であれあまりに「温かい」と、物事の解像度はさがってきてしまうものですが、掲句はまさにその逆のシーンを、天地の鮮烈な対比を通して描き出してくれています。
今のあなたもまた、ぬるま湯的な環境から脱出すること、そして、そこで物事の解像度を上げていくことが必要になってきているのかもしれません。
少し郊外まで出ていけば夜空の「天体」の輪郭はかすかにでも明確になり、ひるがえって自分が軸足を置いている現在地点がどんなものかもはっきりしてくる。
今週はすこし高いハードルを自分に課してみるもよし、厳しい言葉をかけてくれる相手とこそ付き合うもよし。自分にすこし負荷をかけるよう、心がけてみてください。
「自然体」というハードル
「整体」という言葉が普及するきっかけをつくった野口晴哉は、自然に生きるとは何も獣のように山野を駆け回ることにあるのではなく、「白い飯を赤き血にして、黄色き糞にしていく」そのはたらきにこそあると言います。
「生の食べ物を食べても、生水を飲んでも、海で泳いでも、森の中に入ってもそれが自然なのではない。人間という集合動物が街をつくり、その中に住んでいたって決して不自然ではないのだ。ただその生活のうちに生の要求をハッキリ活かすよう生くることが、生くる自然であることだけはハッキリしておかなければならない」(『月刊全生』)
身の内にある“よりよく生きる要求”を、きちんと聞いていくこと。それこそが「自然体」ということの本来の意味であり、自然を見失った文明人となってしまった私たちにとって、もっとも高いハードルなのかもしれません。
今週のキーワード
整体