やぎ座
回帰すべき原点とは何か
信濃の雪と一茶
今週のやぎ座は、「心からしなのの雪に降られけり」(小林一茶)という句のごとし。あるいは、懐かしい自然を心から満喫していくなかで、原点へと回帰していくような星回り。
異母弟との遺産争いのため、故郷の信濃へと戻ったのは小林一茶45歳のころ。
もう決して若いとは言えない歳で、しかもこれまで放置してきた実家の財産を分けろと言いにきた一茶に対し、家族や村人は冷たかった。ただ、そんな状況のさなかでも、冷たい雪だけは暖かく自分を迎えてくれているように感じたのだろう。
「心から」という表現に、おそらく嘘や誇張は一切含まれていない。幼い頃から慣れ親しんだ信濃の雪に「心から」降られた一茶はおおいに励まされたに違いない。ここから、自分の人生は改めて始まっていくのだ、やるしかないのだ、と。
その後五年の歳月をへて、一茶はほぼ半分近い財産を手にしている。気力体力の衰えた中年にして孤立無援の一茶だったから、もし故郷の雪の後押しがなかったなら、そこまで粘れなかったはずだ。
同様に、今週のやぎ座のあなたもまた、自分を人間世界に送りだし、やるべきことをやるまで背中を押してくれる背景の力をとくと実感していくことになるかもしれません。
地上の営みと宇宙飛行士
少しスケールを変えると、宇宙飛行士が長きにわたるミッションを終え地球に帰ってくると、みな多かれ少なかれものの考え方や感じ方が変わってしまうのだそうです。
これまで地球には無数の人々が生まれ、今後も多くの人が生まれてくるでしょう。そしてあなたも、そんな無数の人間のひとりであり、あなたの両親や、彼らの親がひとりでも欠けていれば、あなたは存在しなかった。
繋がれてきた命の連鎖を思い、編まれた縁を見つめる。今週は、あなたが生きようとしているパターンも、過去無数に繰り返されてきたもののひとつに過ぎないという実感を、いつも以上にまざまざと感じていけるはずです。
今週のキーワード
DNAに刻まれた記憶