やぎ座
たまらぬ愛を注ぐべし
霊感の温床を見つけ出す
今週のやぎ座は、自身のミューズを前にした芸術家のごとし。
かつて多くの男性芸術家にはそのインスピレーションの源泉となった「ミューズ」と呼ばれる女性の存在がいたことが知られています。
もともとミューズとは、ギリシャ神話において太陽神アポロンに付き従う諸芸術を司る9人の女神のことを言うのですが、 芸術家による創造的行為の進行は、あくまで彼女たちミューズによって触発されることで初めて成立したのです。
芸術家の側からすれば、霊感を授けてくれるミューズを見出し、当のミューズから霊感を授かるための努力することなしには、自らの作品など考えられないのでしょう。
今週はむやみやたらに先に進むのではなく、内なる豊かさを着実に育てるための「温床」を見つけ、そこに誠実に向き合っていく時間を確保していきたいところ。
異質文明を夢みて
稲垣足穂が「水晶物語」の中で、
「何にしても人間よりは樹木の方が偉い。樹木よりも鉱物、それも水晶のようなものがいっそう偉いのだ。人間も早く鉱物のようになってしまったらよかろう。」
と書いていましたが、そういう眼で人間を眺めていると、確かにごく稀に、鉱物さながらドキリとするような妖しい輝きを放つ人間の存在に気が付きます。
そうした鉱物人間は、その辺に転がっているただの石とは違い、石は石でもその上に全く異質の文明の可能性を夢み信じさせるだけの磁力がある。
そしてその磁場に吸い込まれていくとき、人間の最も深い感情である憧れの想いがそっと引き出されていくのです。
おそらく、そんな時の人の目は、闇夜に一夜の夢を浮かばせるサーチライトの綾を織り出さんと、ピカピカに発光していることでしょう。 「鉱物に較べると、大方の生物はまるで泡だ、と私は思っているのです。」 然り!
今週のキーワード
異質文明への憧れ