やぎ座
まっすぐに突き進んでいくために
あえて大きく打って出る
今週のやぎ座は、『日を追わぬ大向日葵となりにけり』(竹下しづの女)という句のごとし。あるいは、「こうでしかあれない」という自分の生き様をみずから肯定していこうとするような星回り。
「向日葵(ひまわり)」は、成長ホルモンの影響で太陽を追いかけて頭を曲げながら成長していくことで知られていますが、掲句ではそうした常識から外れた「日を追わぬ」向日葵があり、しかもそれでいて大きく成長しているというのです。
「なりにけり」はすでに終わったことへの詠嘆なので、「日を追わぬ大向日葵になってしまったことだなあ」というのが大意であり、おそらくこれは実景を詠んだものというより、自身の在りようや生き様の比喩表現なのでしょう。
作者は大正期の女流黄金時代をつくった女流俳人のひとりとして、一時は俳壇の中心で脚光を浴びる存在でしたが、次第に季語や十七音などの俳句の基本的な約束事への懐疑を深め、俳壇や所属していた結社からも離れて、もとの居場所を批判したりして、あまり相手にされなくなってしまった時期があったようです。
しかしそれでも、晩年には自身で機関誌を創刊したり、学生句会を指導して熱心に後進を育てて、そこから有名な俳人が幾人も輩出されていったりしましたから、「大向日葵」というのもあながちこけおどしではなかった訳です。
同様に、8月12日にやぎ座から数えて「自己価値」を意味する2番目のみずがめ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、しづの女くらいの大胆さで開き直っていきたいところです。
紙芝居を後ろからめくっていくように
心理学者の岸田秀は、自身が少年期に苦しんだ「実際には借りてない借金を友人から借りてしまっている」という強迫観念の原因が、自分と母親との関係にあるということにたまたま読んだフロイトの著作を通じて気が付いたのだと言います。
『フロイドを読む』によれば、それでも岸田ははじめ「悪いのは母ではなく、家業を継ぎたくないと思ってしまっている自分のほうだ」と思い込み、さらには当時の女性が置かれていた社会的立場なども勘案し、母は「かわいそうな人なのだ」という仮説も付け加えることで、「だから母は無理解なだけで、自分を愛していないわけではない」という結論へと合理化しようとしていました。
ただ、やがて母親の無理解が選択的なもので、自分に不都合な事実だけに無理解であることに気が付くと、自分の仮説がすでに成り立っていないことを受け入れ、フロイトに基づいて「強迫観念は正しい」と考えてみました。
つまり、「返さなければならない母への恩」が「返さなければならない友人への借金」へとスライドしていただけで、「場面を間違えていただけの「正常な」反応」だったのだと、自分を思い切って肯定してみたのです。すると、「架空の借金」という妄想が合理化され、ずっとくすぶっていた罪悪感と抑うつ感情も解消されたのだそうです。
今週のやぎ座もまた、たとえ受け入れがたい状況や不可解な症状に陥っていたとしても、自分のことを信じて考え、行動していきたいところです。
やぎ座の今週のキーワード
強迫観念は正しい