やぎ座
血は巡り、座も移ろう
新しい血の流入
今週のやぎ座は、俳諧における「座」のごとし。あるいは、他者に開かれるための環境を求めて、新陳代謝をはかっていこうとするような星回り。
俳句というと、「ポエム」という言葉と同じような文脈において、どうしてもその時どきの感慨を込めた内面的かつ個人的な営みというイメージがあるのではないでしょうか。
ただ、実は江戸時代に栄えた文学形式としての俳諧というのは、ほんらい共同体での遊戯性を高めた“集団文芸”であり、いわば同じ一座に参加する「連衆(れんしゅ)」たちの文芸的対話ともいうべき詩心の交歓の所産に他ならないのだと言えます。
そこでは、読者は同時に作者となり、作者は読者となって、作り手と読み手は交互にその役割を交替しながら、共同で一つの作品の形成に参与していった訳ですが、ここで特に注目しておきたいのは、そうした「座」にはたえず新しい血の流入が必要とされていったということ。
つまり、座というのは常に閉鎖性に傾いて停滞に陥る危険と背中合わせであり、例えば松尾芭蕉などはそうして停滞を感じた時こそ、新しい座や古人の詩心との触れ合いやを求め、旅に出たのです。
4日夜にやぎ座から数えて「閉鎖性からの脱却」を意味する7番目のかに座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、今自分が参加している集団に少しでも閉鎖性や停滞を感じた際には、どうしたらそこに新しい血を入れられるかを可及的速やかに検討するべし。
“君主の官”たる覚悟
もし今あなたの生活において、自分が‟心臓役”になって血を巡らせている居場所や関係性があるのなら、それをいかに逆流させず、五蔵六腑を貫き、四肢百骸(ししひゃくがい)をうるおわすことができるのか。その覚悟のほどを、今週は問われていくでしょう。
中国医学における三大古典の1つといわれている『黄帝内経』の一部である『素問』には「心は全身の血脈を主る(つかさどる)」という有名な言葉が出てきますが、せっかく外から摂取した栄養も、心臓がきちんと働かなければそのエッセンスを全身に運搬し、活動を持続させていくことができなくなります。
閉鎖された脈管システムの中を流れる血を総合的に管理するのが「君主の官」たる心臓の務めであり、それはなんだかんだと言いながら、あなたが周囲に放つ「LOVE(「愛しい」という想い)」の大きさに支えられているのです。
もし決意がグラつくようなことがあったなら、難しい理屈はいったんどけて、自分の身体によく耳を傾け、身体の声に素直になってみることをおすすめします。
今週のキーワード
「読者は同時に作者となり、作者は読者となり」