やぎ座
本能と野蛮
反調和としての人間
今週のやぎ座は、「アゲンスト・ネイチャー」という言葉のごとし。あるいは、どうしたって不自然にはみだして自分自身を受け入れていこうとするような星回り。
心理学者の河合隼雄がどこかでユングの言葉として「ヒューマン・ネイチャーはアゲンスト・ネイチャーだ」という言葉を紹介していましたが、今の騒動が世界をすっかり変えてしまい、人間たちを大人しく黙らせるようになってから、しきりとこの言葉が思い出されます。
感染症やウイルスもひとつのネイチャーだとしたら、それらと抗うことで生き延びようとしている人間たちはまさに「自然に逆らう存在」としての「アゲンスト・ネイチャー」に他ならないはず。
もちろん人間は矛盾した存在ですから、どこかで自然と同調し、自然のために(フォー・ネイチャー)存在している部分も持ち合わせていますし、そうでありたいと願って菜食主義を貫いたり、リサイクルへの配慮を心がけたりしていく人も多い訳ですが、それでも、どうしたって自然に逆らい、彼らとの調和からはみだしてしまう。
それを悪だ罪だと見なし過ぎれば、私たちは満足に日常生活を送ることができなくなってしまうでしょう。
23日に太陽がさそり座に入ると同時に、やぎ座から数えて「本能が求めるもの」を意味する2番目のみずがめ座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、自分がどうしても捨てられない資質や趣味趣向について、改めて肯定していくことがテーマとなっていきそうです。
否定できない本能の一側面
「どうしても捨てられない資質や趣味趣向」などと言うとあまりに上品なので、別の言葉に言い換えてみましょう。
例えば、もう何年もの間、石ころ一つ蹴っ飛ばしたことのない小市民的な人であれば、あの頭蓋骨大のボールを相手のホームめがけて押しこんでやろうと、みんなして駆けだしていく戦士の姿を見て、何か失ってしまった大事なものを思い出すべきではないでしょうか。
人間の祈りや、情愛を細やかに表現する手の使用を禁止されたサッカーの世界では、勝つためのルーティンを創り出すか、でなければ、マンネリ化して立ち往生するか(思考や行動・表現などが型にはまって変化がなく、独創性や新鮮さに欠けていく)の2つにひとつであり、美しい勝利の裏には、必ずどこかに冷徹なまでの残酷さが隠れているものです。
今週のやぎ座は、あらためて「本能の原則」に立ち返りつつ、「必要な習慣」や「必要な贅沢」ということについて考え直してみるといいでしょう。
今週のキーワード
残酷であること、美しさがどこかにあること