やぎ座
偶然と旅路
まず型を崩すところから
今週のやぎ座は、「クリスマスイブ雨アルミニウムの牛」(田島健一)という句のごとし。あるいは、終わらせるべきものは終わらせ、ひょっこり出てきたものをそっと拾っていくような星回り。
俳句は通常5・7・5のリズムを定型としていますが、掲句はそれより細かく小さい単位で言葉が選ばれているように感じられます。
おそらく、どこか自分が無意識的に囚われてしまっているパターンや慣習を意図的に避けようとしたのでしょうけれど、だからと言って、うまいこと言ってやろうといった“イキり”がまるで感じられないのは、もはや作者の生き様がにじみ出ているのかも知れません。
今週は、あなたにとって新たなサイクルの始まりを告げる非常に重要なタイミングです。
けれど、だからこそ、くれぐれもいきなり完璧なスタートを切ろうとしないよう、作者のようにどこか飄々と、偶然性を大切に、過ごしていきたいところ(なお、「アルミニウム 牛」でググったら、牛の絵柄の水筒が出てきました)。
旅のお伴
『ロード・オブ・ザ・リング』として映画化された物語の冒頭、ホビット族のフロド・バギンズは成人となったその日に、何の因果か知らねども冥王サウロンの手先から逃れるため家から逃げ出すことで、旅は始まっていきました。
世界支配を可能にする一つの指輪を譲り受けたフロドは、期せずして世界支配のための闘争に巻き込まれることになってしまったのです。
こうした状況や機運は、いま現在のやぎ座のあなたにもどこか重なるところがあるのではないでしょうか。
まだまだ確固とした自信や確信めいたものがある訳ではないけれど、少なからぬ喜びをともなう冒険へと繰り出そうとしている、あるいは、気付けばもう既に足は旅程の最中にあるような。
そして何より、きっとあなたの傍らには仲間がいる。
『ビジョナリー・カンパニー2』の有名な「バスのたとえ」でも、「何をするか」よりも先に「誰を選ぶか」を決めるべきだという話が出てきますが、フロドはそれを大いに偶然に任せつつ、受け入れていきました。
人選さえ間違えなければ、選んだ誰かがあなたの人生を豊かにし、やがてそれを周囲に還元していくことができるはず。今週はそのつもりで、まずは改めてその旅路を楽しんでいきましょう。
今週のキーワード
「何をするか」より「誰を選ぶか」