やぎ座
孤島から出ていくこと
自分たち以上に豊かであるかも知れない存在
今週のやぎ座は、宇宙からやってきた変形菌のごとし。あるいは、いつまでも無視していても仕方のない相手や存在にきちんと目を向けて、そこへ向かって手や足を伸ばしていこうとするような星回り。
変形菌は、基本的には小さくて目立ちませんが、アメーバのように粘液状になって動き回り、脳がなくても問題を解決できたり、半分に切断されても自己修復できる不思議な姿や生態をもった生物。
ひと昔前のアメリカでは「変形菌は宇宙からやってきた」という説がまことしやかに流布されたりもしました。
もちろんこれはデマですが、変形菌が地球上に誕生した正確な年代はいまだに分かっていません。
少なくとも数億年前には誕生していたとされているにも関わらず、その実態は広く知られておらず、先日パリ動物園で720種類もの性別をもつ変形菌の一種モジホコリが公開され、改めて話題となりました。
ただ変形菌の性の多様性の本質は、単にオスメスの2つに限定されない種類の多さに限らず、場合によっては性が2つの場合もあれば、1つのこともあるという柔軟性にこそあるように思います。
おそらく、こうした性における柔軟性こそが、数億年という長い年月を生き抜いてこれた秘訣なのではないでしょうか。
そしてある意味で、やぎ座から数えて「未来への展望」を意味する11番目のさそり座へと太陽が移っていく今週は、こうした変形菌のような自分以上に柔軟にこの世で生を謳歌している未知の存在と向き合っていくことが、あなたのテーマになっていくでしょう。
包括的思考を促していく
例えば、発明家であり真の意味での思想家であったバックミンスター・フラーは、1963年に発表された『宇宙船地球号操縦マニュアル』の中で次のように述べていました。
「(私たち現代人の失敗の)最も重要な要因のひとつは、専門分化が包括的な思考を妨げることに気づきもせず、この社会が、専門化こそ成功の鍵だと考えていることだろう。(中略)大学はすべて、ますます細かく専門分化するように組織化されてきた。(中略)(しかしながら)すべてを理解し、すべてを統合しようとする欲求。人の生の輝きとして、それ以上のものがあるだろうか?」
こうした問いかけは、少なくとも今のやぎ座にとって、重要な指針となってくるはず。
ある特定のジャンルや業務内容、ポジションに特化した「孤島」の住人は、より広い世界において自分が占める位置付けを正確には知りえません。
それを知るためには、島から出て海を航行することを学び、他の興味深い孤島の住人ら(変形菌など)と交流していくことで、自分たちが同じ大きな海を共有している兄弟姉妹であることを自覚していかなければなりません。
今週はそうした船出や漕ぎ出しの契機をつかんでいきたいところです。
今週のキーワード
モジホコリ