やぎ座
自然に行くのがいいんだな
「廻るまま」に任せる
今週のやぎ座は、「秋風の吹くままろくろ廻るまま」(川喜多半泥子)という句のごとし。あるいは、理屈ではなく体感で、おのれが従うべき流れを感じ取っていくような星回り。
作者は実業家として大成功した後、50を過ぎてから陶芸家となり、「東の魯山人、西の半泥子」、「近代陶芸の父」と称されるまでになった人物。
古来より、秋風は人々の心も動かしていくとされてきましたが、掲句はまさに、作者における陶芸のあり方だけにとどまらず人生のあり方まで示されているように思います。
ろくろは自分が「廻す」のではなく、自然に「廻るまま」に従うまで。銀行家として辣腕を振るっていた時代も、陶芸家へと転身した後も、作者は風が吹くのに従って、逆らわず生きてきたのでしょう。
その意味で、事業を成すのも茶碗をつくるのも、作者にとっては特別違いはなかったのかもしれません。
29日(日)にやぎ座から数えて「社会的使命」や「与えられた役割とその責任」を意味する10番目のてんびん座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、風に吹かれるまま、恬淡と、しかし心を込めて自分のやるべき仕事に向きあっていくといいでしょう。
山下清のように
例えばかつて「おにぎりを貰えなかったらどうするのか」と問われ、「おにぎりが貰えるまで歩くから、貰えないってことはないんだな」と答えた放浪の画家・山下清の存在は、今週あなたに大切なことを教えてくれるでしょう。
今のあなたにとって「自分が果たすべき責任」が果たせるような場所は、一体どこにありますか?
そういう場所に行こう、絶対にたどり着こうといくら頭で思っても、なかなか辿りつけないものですが、山下清はいつもそういう場へごく自然に行くことができたのだと言います。彼は自然が好きな人でしたが、それ以上に自然体であることを大切にした人でもありました。
果たすべき責任を果たすのも、きっと「自然に行くのがいいんだな」。今週は特に、そうした気配をそれとなく感じながらも、焦らず成り行きに任せていけるといいのですが。
今週のキーワード
任運(良寛)