やぎ座
光明ということ
詩的な行為
今週のやぎ座は、手のひらを眺めながら感じた運命の暗い予感のごとし。すなわち、童心にかえって「ほんとのこと」をみずから生み出していかんとするような星回り。
かつて批評家であり詩人でもあった吉本隆明は、『詩とはなにか』という本の中で次のように述べていました。
「詩とはなにか。それは、現実の社会で口に出せば全世界を凍らせるかもしれないほんとのことを、かくという行為で口に出すことである。」
これは技巧のうまい下手とか、表面的なジャンルをこえて、詩的であるとはどういうことか、詩情のはたらきとはいかなるものかを、簡潔に言い当ています。その意味では例えば「手相を見る」といったことも、あるいは詩的な行為たりえるのかもしれません。
ただもちろん、手を見ていつ結婚するのかを当てたり、お金持ちになれるかどうかを言い当てたところで、それは詩的行為ではないでしょう。やはり純粋な心で見たときに、本来見えないはずの何かが映じてくるのでなければ、いくら実際に近かろうと「ほんとうのこと」とは言えないのです。
19日(日)にやぎ座から数えて「未来」や「望み」を意味する11番目のさそり座で満月が起きる今週は、こころに湧き上がってきた「ほんとうのこと」を見逃さず、ぜひともみずからの生きる現実と接続していきたいところです。
希望と絶望を分けるもの
いつだか「希望は美しい、絶望も美しい。だが、両者をわけるものは、もっと美しい」という一文を読んでから、「希望と絶望をわけるもの」とは何だろうかと疑問に思ってきました。
いまだそれに対する明確な答えには至っていませんが、最近それは「光明」ではないかと考えるようになってきました。この「光明」というのは、ただの「光」ではありません。
天を覆う雲間から射し込んでくる一条の光であり、そこには身体を震えさせる歓喜や感動がある。
影の世界にいるからこそ光明は感じることが出来るし、なにかを失って初めて永遠ということが分かることもある。先の「ほんとうのこと」というのも、きっとそうした意味での「光明」のことでもあるはずです。
今週あなたは、世界のどこかに差し込んでいる光明に出会うことができるでしょうか。
今週のキーワード
口に出せば全世界を凍らせるかもしれない