やぎ座
拠りどころを確かめる
根源的な問いへ
今週のやぎ座は、「薔薇は何ゆえなしに有る。それは咲くがゆえに咲く」というジレジウスの詩のごとし。あるいは、本当に確からしいものは何だろう? と問い返していくような星回り。
花は咲くから咲くのであって、意図してみずからの力で咲くのでは決してありません。ただし、花は必ず咲くとは限らず、花が咲いているということは、同時に咲いていないということも含んでいます。
つまり、「咲く」と言えば、枯死して咲かないことと表裏一体であり、その根本にはただ、華麗に咲こうとする作意を捨て、純粋に真摯に物事に打ち込んでいく行為だけが在るのではないでしょうか。
これは植物の話であると同時に、私たちのライフワークの話であり、また生きるということそれ自体が、根本的に宗教的な行為であるということの最良の隠喩のひとつでしょう。
勝ち/負けも成功/失敗も、そうした生に関する根本的事実に比べれば、ちょっとしたきっかけで簡単に揺らいでしまう相対的なものであり、極端に言えば何の根拠もない虚構に過ぎません。
一体、何をゆるがない本当の拠り所として生きているのか。
今週のあなたもまた、そうした根源的で極私的な問いを発しつつ、それに答えていくことで、それなしには生きられない宗教性に改めて接していこうとしているのかもしれません。
重ねた年齢という地層
例えば芸術家の世界では、若いころにつくった初めての作品の中に、後年の作品の芽が端的に現れているといったことが多く見られます。
それは誕生から死までほとんど変わらない一粒の種子が、同時に人生全体を包むような核心を成しているように、人の本質はそうそう変わることがないということを我々に教えてくれるよい例でしょう。
ただ、ときにそうしたまだ幼い頃、若い頃に重ねた経験が震源地となって痛みというメッセージを発することもあるのです。
年齢を重ねると様々な経験は身に付きますが、かえってみずからの想像力の原点を見失ってしまう、という側面もあるはず。
今週は、そんなかつての自分や幼い頃の記憶という古い地層で起きている想像力のねじれを探ってみるのも手でしょう。
今週のキーワード
花は咲くから咲く