やぎ座
縁が染みてくる
静かな盆踊り
今週のやぎ座は、静かな盆踊りのごとし。あるいは、誰かとの濃密な交わりを通して、自分はけっして独りではないのだと感じ直していくような星回り。
盆踊りには2つの種類があります。
その発生を念仏踊りの「風流(ふりゅう)」に求め、華やかに着飾る場としての賑やかな盆踊りと、死者の声に耳を澄ませ死者と共にあることを大切にするとても静かな盆踊り。
そう、色とりどりの屋台や賑やかなお囃子、行き交う人々の浮き足立ったざわめきがなくても、盆踊りは十分成り立つし、この列島で古くから続いてきた盆踊りは決して賑やかなものばかりではなかった訳です。
例えば、柳田國男は1920年(大正九年)に岩手県九戸郡の浜でみた小さな盆踊りについて次のように書いています。
「一つの楽器もなくとも踊りは眼の音楽である。四周が閑静なだけにすぐに揃って、そうしてしゅんで来る」
「しゅんで来る」というのは「染みてくる」という意味の方言ですが、まさに今週のあなたもまた、じんわりと染みてくるように誰かとの一体感を感じていくことができるでしょう。
あの世とこの世、右と左
死者の存在を濃密に感じていくお盆という風習を取り入れていくということは、死者の視点から自分の人生の見えない結びつきについて思いを馳せていくということでもあります。
あるいは、恋人や家族、友人らとの会話や交わりの中で、どこか自分を上空から見つめているような感覚が芽生えてくる、という言い方もできるかもしれません。
人は決してひとりで生きている訳ではなく、同じ次元で生きる他者や、あるいは異なる次元に存在している何者かとの関わりの中で初めて存在することができるのです。
今週はそうした水平軸と垂直軸の双方から、「自分はいったいどんな結びつきを生きているのか」ということを再認識させられていく時なのでしょう。
もちろんどちらの軸にも個人差は存在しますが、できるだけ自分が身近に感じたい存在を引き寄せていくことで、より充実した時間を過ごせるはずです。
今週のキーワード
糸をたぐる