やぎ座
運命のハードル
毅然と生きる覚悟
今週のやぎ座は、「憐れまるより憎まれて生き度し朝々に頭痛きまで髪ひきつめて結う」(春日真木子)という歌のごとし。あるいは、おのれに課されたハードルを超えていこうと立ちあがっていくような星回り。
「寡婦の章」というタイトルのつけられた章に収録されているところを見ると、掲句は作者が最初の夫と死別してから後に再婚するまでの期間に詠まれた句であり、著書の題は『北国断片』、時に昭和47年。
本当の意味での男女同権ということがどういうことなのか、いよいよ議論が高まってきた今の時代とはまったく異なる空気がそこにあったはずです。
これはある意味で、今のやぎ座が指針とするべき、毅然と生きていきたいという覚悟のようなものが刻まれた歌と言えるでしょう。
自分が寡婦という立場にあることは事実その通りだけれど、そのことで人から憐れまれることだけは願い下げだし、それなら「なんだあの女は」と憎まれる方がましだいう、作者の強い決意は、「頭痛きまで髪ひきつめて結う」という下句を受けて、ひしひしとこちらにも伝わってくるようです。
今週はそんな作者のように、独り生きるおのれを見つめつつ、凛とした空気を纏っていくことを意識してみて下さい。
中央線と運命線
よく読み返す詩集の中にこんな一篇がありました。
「新宿を発ち吉祥寺へ向かうはずが、
気付くと神田に降り立っていたのは、
それが吉祥寺への近道だったからだ。
中央線ではしばしば起こること。」
(橋龍吾、『銀河飛行』)
これは「中央線」という題名の詩ですが、手相に置きかえてみるならば、手の平を上下につらぬき本人のキャリアの歩みを象徴する「運命線」の話でもあります。。
そもそも、手の線が先かキャリアプランが先か、星の配置が先か運命の成り行きが先かなんて、本当のところは分からないものであって、運命が課してくるハードルというのも、そういう分からなさゆえに高く厳しいものと感じられるのかもしれません(運命がはじめから決まっていたらいかに楽で安穏としていられたか!)。
でも、その分からなさを噛みしめていくうちに、人は強く、潔くなっていけるのでしょう。
今はそうした分からなさを、そして運命というハードルを楽しみましょう。では、よき歩みを。
今週のキーワード
運命愛