かに座
ありふれた化学変化
閾値を超える
今週のかに座は、アルコール中毒の夫に苦労した妻のごとし。あるいは、単なる偶然と片付けてきたことのなかに無視することのできない必然を見出していくような星回り。
人間は予想外に同じことを繰り返すものであって、例えば、アルコール中毒の夫にさんざん苦労した妻が再婚したら、相手がまたアルコール中毒になったりなんてことは、そこまで珍しい話ではありません。
精神科医の中井久夫も、どこかで「医者の世界には自分の専攻している病気にかかるというジンクスがある」とか、「境界(住宅区域のはずれ)で育った人は暗い無意識と平明な意識の両世界の橋渡しをする運命にあるのだろうか」というようなことを書いていましたが、これも先程と同じような話であるように思います。
つまり、ただの偶然が重なっただけだと思っている事の中には、磁石で吸いつけるかのように、本人に意識されないところである種の親和力をもって一定の現実を引き寄せているということがよくあるのではないか、ということです。
そして、9月7日にかに座から数えて「潜在的な現実」を意味する12番目のふたご座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、住む場所であれ、職であれ、友人や配偶者の選択であれ、ここのところ自分が無意識のうちに繰り返していたパターンについて改めて振り返っていくことがテーマとなっていきそうです。
不完全は不完全を呼ぶ
トム・クルーズの主演の映画に『マイノリティ・リポート』という作品があります。舞台は2054年のワシントンDC、偶然の産物としてうまれた犯罪を予知する「プリコグ」という能力者を用いたシステムのおかげで殺人事件がゼロ、犯罪そのものも90%減少という実に平和な世界となっていました。
しかし、“完璧”な世界というものには必ず裏があるもの。不意に吹き込んできた偶然にさらされた主人公の取った行動によって、犯罪予知システムの裏にある事実が明らかとなり、最終的にはシステムそのものが解体され、システムによって捕らえられてきた犯罪者も釈放されます。
じつは、3人のプリコグによる予知はまれに食い違ってしまうことがあり、その少数意見(マイノリティ・リポート)を組織ぐるみで破棄することで、システムの不完全性を隠蔽していたのです。
同様に、今週のかに座もまた、どこかで自分に訪れた偶然の重なり合いをスルーしていくのか、それとも、これまで見過ごしてきた真実を受け入れ、生活や生きる姿勢そのものを改めていくか、選択していくことになるでしょう。
一見何の問題なさそうでとりわけスマートに見えるものほど、危うさを秘めているのだということを、今週はよくよく意識してみてください。
かに座の今週のキーワード
偶然は雪だるま式に重なっていく