かに座
のどけさの化身
レッツ駘蕩感
今週のかに座は、『寝仲間に我(われ)をも入(いれ)よ春山(はるのやま)』(小林一茶)という句のごとし。あるいは、柔和であることを学び直していくような星回り。
おそらく、仕事で出向いた房総あたりでの体験にもとづいて詠まれた一句。つまり、「山」といっても故郷信濃の厳しい山容というより、太平洋が望めるような穏やかなゆるい雰囲気を感じさせる山だろう。
だとすれば、「寝仲間(ねなかま)」がごろごろしている部屋も、温泉などの湯治客が雑魚寝している一部屋といったところか。とはいえ、掲句は想像上で組まれたものであり、あまり具体的な場所や対象を詮索してしまうと、つまらなくなってくる。あくまで気分を味わえればそれでよし。
部屋もあまり広すぎもせず、かといってぎゅうぎゅうに狭すぎもしない。思い思いに寝転がりつつも、全体としてなんとなくまとまっている感じで、その光景自体がまさに春の山そのものの、どこまでものどかな駘蕩感(たいとうかん)がある。
だから「我」がそこに陶酔的に浸っていくにも、硬いまま、強いまま、とげとげしたままではだめで、仲間に入れてもらうにはそれ相応の柔らかさや伸びやかさが必要になってくる。その意味で、7日にかに座から数えて「学び」を意味する3番目のおとめ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、そんな風に春の山の一部になっていくはず。
おばあちゃん方式
じつはある種の「おばあちゃん」は人間の進化の一つの完成形態なのではないか、そんな風に思うことがあります。
確かに「おばあちゃん」は、若者のように「力づく」とか「素早く器用に」立ち回ることができない人もいます。何事にもゆっくりとした動きで対応しているので、パッと見、すごく非効率的に見えるし、サボっているようにも見えてしまう。
しかしだからこそ自分をごまかすことなく、丁寧かつ確実に仕事をこなしていきます。また、若者にくらべ体力がないので、同時に複数のことはできない代わりに、一つの仕事が終わるまで丁寧にそこに時間をかけていきます。
そしてなにより、見ていると思わず手伝ってあげたくなり、人から声をかけられやすいのも特徴であり、結果的に人の手を借りるのもうまくなるので、仕事を終わらせるのもそんなに時間はかからないのです。
のんびりと暇そうに見えて、実はちゃっかりしている。今週のかに座は、そんな「おばあちゃん方式」を取り入れてみるといいかも知れません。
かに座の今週のキーワード
外柔内剛