かに座
辺境×革命
地域通貨のようなパン
今週のかに座は、「田舎でパン屋を営む」というやり方のごとし。あるいは、自分なりの仕方でせっせと安全地帯をこしらえていこうとするような星回り。
『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』の著者である渡邉格が提唱しているのは、ただ単に「片田舎で余裕のあるスローライフを実現して経済競争から脱却しよう」といった絵空事の話ではなくて、むしろ資本主義の辺境において、パンを通じて誰にも搾取されない理想的な循環システムを創り出そうという革命運動です。
資本主義は利潤を求めてどこまでも増殖していく反作用として、環境破壊や公害、添加物や農薬による健康被害、ブラック企業や低賃金などの労働問題など、さまざまな形で人の生活や地球環境を蝕んでいく訳ですが、そうした経験を嫌と言うほど経た渡邉は、自分の時間とお金と健康を、誰にも搾取されないために、資本主義の「外」へ出ようとするのではなく、その内部にささやかな安全地帯を作ろうとしているのです。
僕らは、地域通貨のようなパンをつくることを目指す。パンをつくって売れば売るほど、地域の経済が活性化し、地域で暮らす人が豊かになり、地域の自然と環境が生態系の豊かさと多様性を取り戻すパン
その意味で、6月21日に自分自身の星座であるかに座に太陽が入る夏至を迎えていく今週のあなたもまた、生の豊かさと喜びを守り、高めていくために、たとえ非効率であっても、手間暇をかけて自分なりの「パン」をつくっていくことが、改めてテーマになっていくでしょう。
システム都合と人間都合
だいたい科学というものからしてそうなのですが、いったん物事の処理や解決を間違えずに進めていくための手順がマニュアル化されると、使い方の上手下手など存在しないように作られるため、往々にして下手な使い方が基準になりがちです。
したがって医療にしろ飲食にしろ占いにしろ、マニュアル化やシステム化が進んでくると職人技とか職人精神みたいな個人的な塩梅がないがしろにされて、どうしても自分の責任という考えが薄くなってきてしまうもの。
例えば、どこに行っても平等に医療サービスが受けられるという前提で、タテマエとしてはどこの病院であってもそこまでサービスに根本的な違いはないということになっていますが、実際には執刀する外科医なんて人によっては天と地ほど技量の違う訳です。
そういう意味では、今週のかに座は、自分が日ごろ何となく従ってしまっているマニュアルを破ったり、のっかってしまっているシステムから降りることで、自分の都合や個人的な塩梅を取り戻していくことがテーマになっているのだとも言えるでしょう。
かに座の今週のキーワード
手をいきいきと動かしていくこと