かに座
すってー、はいてー
こちらは9月13日週の占いです。9月20日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
良夜の果報
今週のかに座は、「我庭の良夜の薄(すすき)湧く如し」(松本たかし)という句のごとし。あるいは、すこし楽に構えられるようになっていくような星回り。
昭和16年(1941年)の作で、月にほのかに照らされた薄(すすき)を「湧く如し」と表現したところに言葉の深いあやを感じさせる一句。
これまでもそこに生えていたものの、月光を浴びた「薄」を見て、作者は改めてまるで初めてそれに気付いたかのような新鮮な印象を抱いたのでしょう。
一方で、「我庭」という言い方には強い愛着を感じますが、それはみずからの人生や生き方への充足感であったり執着であったりが潜んでいる内的世界の象徴なのかもしれません。そこに、ひょんなことから月光が差し込み、無数の薄が湧いて出たのです。
身から出た錆ならぬ、庭から出た薄という訳ですが、それはいつの間にか根を張っていたもののもたらした果報であり、余計な力が抜け落ちて、わずかながらしがらみから解放されたことを意味しているのではないでしょうか。
14日にかに座から数えて「健全な調整」を意味する6番目のいて座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、こころや身体にすこし余裕をもたせることで、初めて見えてくるものが出てくるはずです。
大きな息の流れ
いわゆる大往生と言うのは、深く息を吐き切った後に亡くなっていくことが多いそうですが、「息を引き取る」というのは、「潮が引く」のと同じで、「元に戻っていく力が働いている」のだと言えます。つまり、“もと”の何かに引かれている、あるいは、引っ張っている何かがそこに現れている、ということなのではないかと。
では、この“もと”とは一体なにか?(かみさま、自然、宇宙など)つまり、息を引かれていくということは宇宙に帰るとか、自然に帰るとか、そういうことなんですね。
そうすると、「薄湧く如し」という情景も、ただそこに鬱蒼たる空間が広がっているという訳ではなくて、自分を引き取ってくれている「良夜」があるという深い安堵につながっていることでもあるように思います。
あるいは、息を安らかに吐いていくことのできる先というのは、引かれているこちら側と何の抵抗もなくスムーズにつながっている大いなるものの懐に包まれてあるということ。
今週のかに座は、そうした自分をスムーズに引いてくれる大きな呼吸の中で、息を深く吐けるよう調整していくことをどうか意識してみてください。
かに座の今週のキーワード
潮の満ち引きと同調していく