かに座
いのちのふれあい
こちらは6月21日週の占いです。6月28日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
純一無私
今週のかに座は、「月に酌む生死を分ちあふものら」(福西正幸)という句のごとし。あるいは、純粋さを共有できる関係性こそ大切にしていくような星回り。
作者が遺しているのはいわゆる戦争俳句と呼ばれるもので、この句も主に作者が実際に大陸の戦地の真っ只中にいるあいだに詠まれたもの。どこか軍人らしい、竹を割ったような直線的な印象を受けます。
上層部からすればたかが兵隊の一人に過ぎない存在であったとしても、みなぎる緊張を少しでも和らげようと、月に向かって酒を酌み交わしあった相手は、互いにどこにでもいる同世代の若者に他ならなかったのでしょう。
そして、敗戦のショックを最も直接的に受けたのも、やはり実際に生死を分ける戦いに参加させられた彼ら兵士たちだったように思います。彼らは全体の日本人たちのように、簡単に平和への、民主主義へ転換することもできず、急転していく様相の街にあって、楽しまず、働かず、苦しみ、悩んでいきました。
みな好きで戦争をした訳ではない。一途に祖国のため、一緒に戦っている同胞のため、そして残してきた家族のために戦ってきただけだった。ただそれだけだったのです。
その意味で、掲句は今ではすっかり失われた、純粋にいのちを賭けた者同士がおのずから共有していた潔さが、かすかに残り香のように漂っているように感じます。
25日にかに座から数えて「同志」を意味する7番目のやぎ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、そうしたある種の清々しさをこれはと思った関わりにもたらしていきたいところです。
砂場で遊ぶ子らのように
人生もまた一輪の花のようにはかないものであるならば、友よ、砂の上にぼくらの家を建てて、遊ぼう
これは以前、鎌倉文学館で目にした一文ですが、今週のかに座の人たちにもこの感覚は相通じるのではないかと思います。
砂場で遊ぶ子どもたちは、そんなことをいちいち言語化して考えたり、口に出す訳ではないでしょうけれど、実際に砂場というのは遊びを通して出会いがあり、またそこで作られるものにはどうしようもない儚さと、それゆえの美しさのようなものが感覚的に感じられるのです。
考えてみれば、大人になった私たちが日々追いかけているのも、そうした子供時代の「砂の城」の延長線上にあるのかも知れません。
かに座の今週のキーワード
儚いゆえに美しい