かに座
私は発達などしない
「大人」をやめる
今週のかに座は、「三つ子の魂百までも」という諺を、わが身のこととして直観していくような星回り。すなわち、年相応に成長し変化していく自分とは別に、いつまでも変わらぬままでいる、裏の自分がひょっこり顔を出してくるよう。
人間の心というのは、ほんとうに発達心理学が提示する成長モデルのように、直線的な発達を遂げるものなのかと考えるとき、先の諺のように私たちは、別のモデルやイメージにも自然と親しんでいることに気が付きます。
環太平洋地域には昔から、子供の魂に祖父母の魂との同一性を見出すという伝統がありましたし、人は家族の一員である以前に「個人」であるという発想の根拠も、案外脆いものかもしれません。
今週はいつものように大人な自分のままでいようとすると、キツくなってきてしまうかもしれません。
逆に言えば、そこにこだわる心をを外すことさえできれば、いつまでも社会化されることを免れ、永遠に「成長」などしない自分自身、そして豊かで広がりのある世界が開けてくるでしょう。
闘争と自由
例えばパブロ・ピカソは史上最も成功した画家である一方で、一生で何度も違う絵描きになったと言われていますが、それは一般的に想起される個人の成長過程から、大いに逸脱していた何よりの証拠と言えるでしょう。
「わたしは発達などしない。わたしはわたしだ」
「絵は部屋を飾るためにつくられるのではない。私が古いもの、芸術を駄目にするものに対して絶えず闘争している」
といった彼の言葉からは、禅語の「日々是好日」に似た境地を感じます。
あるいは「ようやく子どものような絵が描けるようになった。ここまで来るのにずいぶん時間がかかったものだ」という彼の最晩年の言葉を聞くと、やはりピカソという人はただただ絵を描く喜びの中で自由自在にありたい人だったのだろうと思えてきます。
今週は、ともに童心に帰れるかどうかが大切な基準になるでしょう。まずは自分や相手の心臓の鼓動を感じようとしてみることです。
今週のキーワード
ユーモア