かに座
意識の底で黒光りするもの
野蛮人としてのかに座あらわる
今週のかに座は、アンチ・出木杉くんのごとし。すなわち、人としてスマートであろうとする思想をどこかで捨てていくような星回り。
『ドラえもん』における出木杉くんは、勉強ができてスポーツも得意な上、ルックスもいい。ただ、それにも関わらず、登場回数が圧倒的に少ないのは、視聴者として見ていても、友達として一緒にいてもさして楽しくないからでしょう。
彼は分かりやすい欠点や過剰さがないがゆえに、結果的にいつも自分ひとりだけがスマートな位置に立っていて、それがとにかくつまらないのだ。
その点、のび太にドラえもん、ジャイアン、スネ夫などは、よいところとダメなところのデコボコ具合が見事であり、それゆえに見ていて楽しく絡みがいもあり、一周まわってスマートなのだと言えるのではないでしょうか。
一見スマートに見えるモノが実際にはスマートに機能するとは限らない(というか大体ヘボい)ように、何でも自分ひとりで出来てしまうスタイルがもはやまったくイケてないことに、僕たちはもういい加減気付いてきているはず。
6月6日にかに座から数えて「スタイルと美学」を意味する6番目のいて座で、満月を迎えていく今週のあなたもまた、出木杉くん的な思想から自分がどれだけ脱け出せているのかいないのかが少なからず浮き彫りとなってくるでしょう。
野生の血が反応する
あまりに違和感が大きくなってくると、もはや一言でさえ上っ面だけの言葉を発せられなくなってくる時というのがあるものです。むろん、多くの人はそれでも無理やりそれらしい言葉をひねり出し、なんとかそういう“不調”を何事もなかったかのごとくやり過ごそうとする訳ですが。
それでも一定の割合で、丸みをおびた言葉遣いや、すっかり角の取れた言葉で出来上がったきれいごとやスマートさに反吐が出てしまう人というのが出てきてしまう。
生きものとしての本能がある限り、頭でこしらえたものはやっぱり本物のきれいさではなくてニセモノなのだと、そういう意識がずっと底のほうにあるのだと思います。
今週のかに座は、そういう意味で「血が反応する」ような感覚が起きていくかも知れませんし、ある種の野蛮さや獣じみた感覚が必要とされていくのだとも言えます。
今週のキーワード
現代における呪いとしての出木杉くん