かに座
媚態の純化
いきの要件
今週のかに座は、「人来るまで病の顔す冬鏡」(三好潤子)という句のごとし。あるいは、隠すことで何かを表していこうとするような星回り。
生涯多病を患い続けた作者は、艶なる病人を装って病醜を見せなかったという。それは作者の演技であり、意地でもあったのでしょう。
『いきの構造』を書いた九鬼周造は、「いき」であることの第一の特徴を「媚態」とした上で、第二の特徴に「意気」すなわち「意気地」を挙げて、次にように述べました。
「「いき」は媚態でありながらなお異性に対して一種の反抗を示す強味を持った意識である」
「婀娜(あだ)は深川、勇みは神田」という言葉があるように、もともと「強がり」というのは江戸のもので、上方文化の中には文化としてはありませんでした。
「宵越しの銭は持たねえ」とか「冬でも素足で歩く」なんてやせ我慢や意地っ張りも、良くも悪くも「いき」において大きな比重を持っていると九鬼は考えた訳ですが、作者もまたそれと重なるような自分なりの美学を強く持っていたように思います。
やっぱり好かれたいんだけど、一方で突っぱねる。12日(火)にかに座から数えて「愛を受け取る場所」を意味する11番目のおうし座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、そうした緊張関係を楽しんでいきたいところです。
役に憑かれる
人生の難局に直面したとき、人はどんな顔をすればいいのでしょうか?
掲句の作者に限らず、大女優と呼ばれる人たちは感情のコントロールが格段に上手な上、時に何か得体の知れないものが憑依しているのではと感じさせることもありますが、そんな大女優ならば、おそらくどんな状況にあっても、自分の創りだした役柄を完璧に演じ切ってみせることでしょう。
そこまで行かずとも、今週のあなたにおいても、理想の自分を演じていく中で、何かとても強いエネルギーに押し流されたり、その中で媚態が純化されていくのを感じることができるかも知れません。
ある意味でそれは「無意識からのサポート」であり、あなたはそうした内なる呼びかけにきちんと心を留めて同調していくことが求められているのだと言えます。
今週のキーワード
骨盤を開いて場を呑み込む