かに座
たかがとされどの間に立つ
「じゃばける」と「しみじみする」
今週のかに座は、「蛇化ける」ことのないように。あるいは、気が触れてしまわぬように、地道に生きていこうとするような星回り。
下総の九十九里浜あたりでは、古くは「はしゃぐ」ことを「じゃばける(蛇化ける)」と言ったのだとか。
人が蛇になるのか、蛇が人に憑りつくのか。いずれにしても、タイミングの外れた行動をしたり、厄介な場所で余計な一言を発するなどして、普段は「寝た子」状態である魔物を起こして、何かしら尋常ではない「変」が出来(しゅったい)してくると、「あの家の娘はじゃばけて気が触れた」などと言われていたのでしょう。
九十九里では「地道に生きる」ことを「しみじみする」とも言い、「あんた、も少ししみじみしたらどうか。」と命令形で使われることが多かったそうですが、そこには「しみじみした」ところでのみ、人は本当の意味で自信を持って生きていくことができる、という昔の人たちの人生観や生活感が垣間見えてきます。
23日(火)に太陽が、追って28日(日)には金星もかに座を去ってしし座に移っていく今週のあなたもまた、藪蛇のごとき人間心理をつついて蛇化けたり、蛇化けられたりすることのないよう、十分注意していかねばならないように思います。
今週は、どうしたらもっとしみじみと生活に沈むことができるかを考えてみてください。
「化かす」と「化ける」
「化ける」と言えば、昔からキツネとタヌキも日本人にとって縁の深い動物ですが、両者には明確な違いがあって、キツネは人を「化かし」ますが、タヌキは自分であらかじめ「化けて」おくのが特徴です。
つまり、まるで別人になったかのように振る舞おう、いっそ別人になり替わろうとする、そういう人は、タヌキなんですね。
そして、そこには虚構によって現実を塗り替えていこうとするエネルギーが感じられます。タヌキにとって、生きることや、生活することは、どこかゲームのようでもあるのではないでしょうか。
演技であれ、ギャグを飛ばすのであれ、芸術作品をつくるのであれ、タヌキからは「たかが人生じゃないの」という余裕が感じられて、個人的にとても好きです。
今週あなたは、どんな虚構を現実に溶け込ませていきますか。正直者がバカを見る時代ならば、そんなしたたかな地道さだって、あってもいいのではないでしょうか。
今週のキーワード
「たかが人生じゃないの」