かに座
飢餓を呼び覚ます
叶わなかった願いの残骸の中で
今週のかに座は、「新月の願い」を逆さに振っていくような星回り。あるいは、自分の中の「ダークムーン」的感覚を呼び覚ましていくこと。
アメリカの占星術家ジャン・スピラーの書いた『魂の願い―新月のソウルメイキング』という本が日本で出版された2003年以降、徐々に日本でも浸透し始めた「新月の願い」は、新月のタイミングから数時間から数日以内に「~がうまくいく」「~になる」などと願いごとを完了形で10個書き出すことで、願いごとが叶いやすくなるというもの。
近年は「引き寄せの法則」の文脈で語られることも増えてきましたが、どちらかというと貪欲をキラキラした言葉の包装でつつんでいるだけで、端的に言って傲慢な印象を受けることが多くあります。
そもそも「引き潮のときには人がよく死ぬ」なんて言うように、月というのは昔から不吉なものだったり、怖いものだったりもした訳です。
かに座から数えて「人生の帳尻をあわせること」を意味する12番目のふたご座で新月が起こる今週は、同じ引き潮でも、満ち潮と引き潮の差が一番大きくなる「大潮」のタイミングということもあり、あなたにとってある種の「膿だし」の期間となっていくでしょう。
すなわち、自身の心に巣食っている醜さや惨めさ滑稽さ(ダークムーン)を水に流していくべく、改めて取り出していくべし。
自分に何が足りないのか?
例えば「ラッキーストライク」とは戦後、日本でもっとも愛されたタバコの銘柄のひとつですが、直訳すれば「運よく鉱脈を掘り当てる」という意味に。ここで考えてみてほしいのは、では何を“当て”れば、今のあなたは思わずラッキーだ! と心から思えるのか、ということ。
宝くじの高額当選? 望んでいた仕事のオファー? いやいや、仕事や人生設計については自分で何とかできるから、やっぱり縁のある異性との出会いや、意中の相手からの色よい返事だろうか?
けれど、電車の中吊り広告やテレビで流れていたCMで見たような、そんなありふれた欲望のなまぬるい充足にスポイルされることを、本当にあなたは望んでいるのか。
むしろ、それらではちっとも満ち足りてないという「大いなる飢餓」への自覚と、全身が湧きたつような渇望へいたることこそ、「当たり」なのではないか。
自らの内にある底知れない“欠乏”を受け入れていくこと。それ自体が時間かけて掘り出していくべき「いのちの鉱脈」でありダークムーン的感覚と言えるでしょう。
今週のキーワード
新月の願い