かに座
上手に逃げよう
「現実」からの離脱
今週のかに座は、マンネリへの停止ボタンをつぎつぎと押していくような星回り。あるいは、「働かざるもの食うべからず」という言葉を疑ってかかっていくこと。
日本社会にはいまだに「やりたくないことを我慢してやること=仕事」という考え方が蔓延しており、少しでもそこからはみ出している人を見つけると、袋叩きにするのを正義か何かと勘違いしている人が少なくないように思います。
しかし、大きな運気の流れで見た時、こうした我慢=仕事という文脈から幸か不幸か今のタイミングで外れていこうとしているのが、かに座の人たちと言えるでしょう。
多くの企業は不況になったり事業に行き詰まってきた時ほど、無理やり仕事を作って雇用を維持し、赤字になっていくパターンを踏襲してしまいますが、その点、今のあなたのテーマはそうした無理な現状維持をいさぎよく止めてしまうことにあります。
イヤイヤ働いて退勤時間が来るのを指折り数えるくらいなら、いっそ「ただそこにいる」という状態にいったん自分を置いてみよう。そして、どうしてもやりたくして仕方がないこと、少しでも我慢もストレスもなく好きでやれることに着手してみよう。
そう言うと、必ず「現実は甘くない」という言葉が飛んでくるものですが、それもまた‟好きで好きでたまらないもの”を確かに持っているということそれ自体が現代日本において精神的な豊かさにおける指標になっていることの裏返しなのではないでしょうか。
その意味で、19日(日)にかに座から数えて「趣味」や「遊び」を意味する5番目のさそり座で満月を迎えていく今週は、一般的な労働信仰から抜け出ていくことがテーマとなっていくでしょう。
山下清―その生き方と健康法
18歳のときにはじめて学校から脱走して以来、山下清は放浪、つまりあらゆることから逃げ出していくことで自分を取り戻していった人でもありました。
たとえば戦時中は、徴兵検査からも逃げ出しています。「上手に逃げよう」、そう語る山下清は、打ちあがる花火を好んだ人でもありましたし、きっと好きな花火を追いかけて夏はそれこそ転々と土地をさすらっていったことでしょう。
また家族の言によると、彼は自分の身体を大切にするあまり、色いろな健康法をつぎつぎと試して訳がわからなくなってしまったこともあったそうですが、それは逃げ続けることでどこが本当の故郷か分からなくなってしまった彼の人生にも通じるところのある話です。
しいて言えば、ひとつのことにこだわり続ける在り方から徹底的に離れていこうとしたことが彼の健康法であり、生き方だったのでしょう。今週はかくあれかし。
今週のキーワード
逃避を遊ぶ