かに座
宇宙的チューニング
目に見えないものに突き動かされる
今週のかに座は「笠島はいづこさ月のぬかり道」(松尾芭蕉)という句のごとし。あるいは、夢のまにまに宇宙空間に溶け出していくような星回り。
『おくのほそ道』は、名所旧跡めぐりの紀行文のように見えながら、実際にはそれを超えたスケールと意図を持った創作物と言えます。
芭蕉は平安中期の歌人で、宮中でのケンカがもとで陸奥守に左遷させられた直情径行の人であった藤原実方を大層好んでいたそうで、笠島(現在の宮城県名取市)には彼のお墓がありました。
そこでは、芭蕉が深い憧憬をもって慕っていた西行も歌を詠んでいた。つまり、数百年も昔に死んだ彼らへの思慕が芭蕉を笠島へと向かわせ、笠島に宿る実方や西行の精霊が芭蕉を引き寄せていく。
そうして『おくのほそ道』は各地の精霊や亡霊を鎮めるための鎮魂巡礼と化していったのです。
そして、芭蕉が亡くなってから数百年が経った現代においては、芭蕉もまたその死によって宇宙のすみずみまで溶けこんで、失われたものを追慕するわれわれを探しものと引き合わせてくれている。
今週はあなたの中の誰かへの誠の思いが、いったん身に見えない次元を通すことで、何がしかの形で遂げられていくよう背中を押されていくかもしれません。
聖域と聖域感覚
世間の水準や他人と比べ、どれだけ幸福な生活をしていても、今のあなたには、自分自身がよりしっくりくるようチューニングしていくための「聖域」が必要です。
ただし、この場合の「聖域」とは、三蔵法師が天竺を目指して旅をしたような、はるか彼方にありて思うようなものではなく、例えば北に山がそびえ東に川が流れ南に平野があり西に大きな道が通っているといった、特定の配置が整ったときに生じてくる「よい気の流れ」に満たされた自分のテリトリーに近いイメージ。
「運がいい」とは、正しい時に正しい場所にいられることとはよく言われる話ですが、そうした正しい配置の全体像や見取り図を作っていくのが今週のテーマなのだと言えるでしょう。
これは対人関係にも言えることです。
好き嫌いというより、空中からもう1人の自分の目線で見たときに、この組み合わせはちょっとイケてないかなとか、ここはもう少し間を空けておいた方が美しい、といった自分なりの「聖域感覚」をフルに発揮して判断されてみて下さい。
そうすることで、結果的に自分の周りが聖域化していくなら、その判断は正しいのです。
今週のキーワード
大きな必然性の流れを見すえる