かに座
愛とは理解
願いの始まり
今週のかに座は、ああこの絵が好きだと感動するだけでは決して終わらない人のごとし。あるいは、理解としての愛をきちんと丁寧に実践していくような星回り。
芸術は感覚的に作られるものであり、その場その場での感性によってしか説明できないものと誤解されがち。
ですが芸術を理解するには、その芸術が生み出された時代や背景をきちんと理解していかなければなりません。そしてその意味で、芸術にいちばん似ているのは、人間でしょう。
美術史の入門書である『イメージを読む』(若桑みどり)には、「人間を一目見ただけでその威厳や美しさに戦慄するのはよくあることです」と前置きした上で、次のように述べています。
「でもわれわれが戦慄したのは、その人間の目の光や、身振りや、いったことばやしたことのせいなのです。人間は外観であると同時に複雑な意味の発信体なのです。」
確かに、美術品を愛でるコレクターが美術品が作られた時代や背景をうっとりと語るように、愛とは理解であり、理解したいと願うことは愛の始まりなのだと思います。
今週のあなたもまた、どこかでそうした始まりの予感に突き動かされていくことになるでしょう。
愛で方の玄人は
いくら華麗に着飾っていたとしても、それが馬子にも衣裳になっているのならば、本当の意味で「美しい」とは言えないでしょう。
陶器鑑賞家にして装幀家、そして美の追求者であった青山二郎は『眼の筍生活』と題されたエッセイの中で以下のように述べています。
「物の「在り方」は美の鑑賞なぞといううっとりした眼に、最初の印象を許すものではありません。一眼見て惚れたといいますが、文字通りそれは好き好きというもので、それとこれとは別の問題であります。好き好きという話になると、これはこれで大分面倒な趣味の事になりますが、併しもしもこの好き好きというものが、物の「在り方」と端的に一致する様になれば、先ず骨董屋より玄人といえましょう。」
これは「引き算の美学」とでも言えましょうか。
対象が人であれモノであれ何であれ、今週はそういう物の見方を大事にされるといいでしょう。
今週のキーワード
実践としての愛