かに座
気持ちが流れるままに
縦横無尽であること
今週のかに座は、「僕は季語ここは湖みたいに明るい」(外山一機)という句のごとし。あるいは、妖精にでもなったつもりで、誰かをあちらこちらへ誘っていくような星回り。
普通なら「僕は季語」の部分には「秋風や」みたいな実際の季語が入って、湖についての描写でしめる訳ですが、そうじゃない。
「僕は季語」で、いきなり自分自身が季語キャラ(ゆるキャラみたいな?)に変身してしまっていて、「なんだここ!なんかすっごい明るいぞ!」と誰かに向けて語りかけてくるみたいな、不思議な世界が展開されている。
しかも、「湖みたいに明るい」となっているけれど、湖は目の前にはない。あるのはただ、明るさだけ。
仮に空を飛ぶ妖精に変身しているのだとすれば、「あゝなんだかさっきその上を通ってきた湖みたいに明るい場所だなあ」と、迷い込んで入ってしまった大型商業施設かどこかで思っているのかもしれない。
ある意味で、語りを通じて不思議な世界を展開することで、目の前の現実のとりこにしようと、他の誰かを誘っているのだとも言える。
今週のあなたは、ちょうどそんな俳句と一体となってしまった作者のように、目の前にある‟何か”の面白さを引き出していくことができるでしょう。
感情の瞬発力
物理的にであれ精神的なものであれ、遠くへ行くことができるのは、それ自体ひとつの才能なのだと言えます。そしてかに座の場合、その成否をわけるのは、どれくらい気持ちの瞬発力を発揮できるかどうか。
例えば、言語連想テストなどで「山」と言うと、大体の人が「川」と答えますが、ここで「煙突」と答えるような人は相当に独創的な人か、あるいは相当におかしな人かのどちらかでしょう。
「山」と聞いて、「登る」ことを連想し、さらにそれが「高さ」と結びついて「煙突」へと行き着いたのだとすれば、それは本人が「高さ」というイメージに何か感情的に結びついていたのかもしれません。
機械反射的に「川」と言ってしまえばいいところを、いわば感情に流されたのです。
言い換えれば、そうやって感情に流されるのも1つの瞬発力の発揮なのであり、そうである以上はそれを使っていけばいい。今週は、感情や情欲に流され、そこにむしろ乗っていくくらいでちょうどよいのかもしれません。
今週のキーワード
僕は季語