おひつじ座
脳から免疫へ
目に見えない結びつき
今週のおひつじ座は、「ビヤホール椅子の背中をぶつけ合い」(深見けん二)という句のごとし。あるいは、自然と力を抜いて、協調を手に入れようとするような星回り。
杯であれ、本音であれ、ぶつけ合える相手を持てることは幸せだ。それも、のどの渇きを癒す場をそんな相手と共有できるならばなおさらだろう。椅子の背中がぶつかりあっても、それすらも嬉しいというくらいに。
昼から飲むビールは最高だが、それは昼の勤めを放棄するという犠牲のもとにあるということも忘れてはならない。ただ、その犠牲を払う価値は確かにあるのだ。
昼の勤めから解放された者は、明るい明晰な理性や強固な自我の輪郭のもとでは決して得ることのできない。周囲との目に見えない結びつきや、確かな支援に目が開かれていく。
そんな細部まで細かく成り立っているもうひとつの現実領域のなかで、今週は、新しい生き方の感覚をつかんでいくことになるでしょう。
風邪をひくと自分がわかる/かわる
深層や核心部分が変わっていく時というのは、一見、得てして停滞しているように見えるものです。
たとえば、風邪をひいた時なんかがそのいい例でしょう。
頭はぼーっとして、労働の生産性は著しく落ちていき、なんだか蚊帳の外に置かれてしまった気分になる。お医者さんは、発熱は体に入ったウイルスを免疫が撃退している証拠なのだと言いますが、これは一体どういうことなのでしょうか?
「しかし、ここではっきりしたことは、個体の行動様式、いわば精神的「自己」を支配している脳が、もうひとつの「自己」を規定する免疫系によって、いともやすやすと「非自己」として排除されてしまうことである。つまり、身体的に「自己」を規定しているのは免疫系であって、脳ではないのである。脳は免疫系を拒絶できないが、免疫系は脳を異物として拒絶したのである。」(多田富雄、『免疫の意味論』)
脳みそなんてものはしょせん身体の一部に過ぎません。たえず「免疫というスーパーシステム」の中で調整され、変化しながらそこにある。
そのいっぽうで、免疫は、自分のごく一部分を整えたり組み立て直したりしているだけでなく、新しい部分や要素そのものを創り出しながら自己組織化していくのだそうです。
つまり、自分ではないものを通して、たえず新しい自分を創り続けているのが免疫であり、今週のあなたは、脳みそではなく免疫を働かせていくことがテーマなのだと言えるでしょう。
今週のキーワード
多田富雄『免疫の意味論』