おひつじ座
ルネッサーンス!
アメリカ的精神
今週のおひつじ座は、「過去から新しい状態へ移る瞬間」のごとし。あるいは、おのれの魂を殺してしまうような順応とは縁を切っていこうとするような星回り。
勃興期のアメリカを代表する思想家であったエマソンの『自己信頼』などを見ていると、いまだ多くの日本人はそのあまりのストレートな物言いに面食らうはずですが、例えば彼は次のように述べます。
いま生きていることだけが役に立ち、かつて生きたことは無用のものだ。落ち着いてしまうと、とたんに能力を失う。能力が生まれるのは、過去から新しい状態へ移る瞬間である。(『エマソン論文集 上』)
エマソンは「おのれを外に求むるなかれ」という言葉を銘句にし、先の論文の冒頭に掲げていますが、ここでの「おのれ」とは、まさに「過去から新しい状態へ移る瞬間」の<今ここ>にある私のことであり、逆に言えば、新しい状態への移行を迎えることができなければ、私は存在しないも同然なのです。
こうした「アメリカ的」とされる精神の在り様は、ともすれば病的な強迫観念のようにもなりかねませんが、エマソンはさらに論を展開し、「人間でありたい者は、誰でも、順応と縁を切れ」、そして「君自身の精神の損なわれぬ本来の姿以外には神聖なものは何もない」と力強く語りかけます。
9月29日に自分自身の星座であるおひつじ座で満月を迎えていく今週のあなたならば、こうしたエマソンの語りに本能的に反発しがちな多くの日本人とは違って、少なからず共感を覚え、場合によっては大いに糧にしていくことができるはずです。
生き方の問題としての「ゴシック」
「ゴスロリ(ゴシック・アンド・ロリータ)」という言葉とともに、どこか現実離れしたロマンチックでファッショナブルなイメージがどうにも先行しやすいゴシックという言葉ですが、そこには本来、パンクとも通じる現代の合理性への反発が込められていました。
例えば文芸評論家の高原英理は、「ゴシック」と「少女」をキーワードに編んだアンソロジー『ガール・イン・ザ・ダーク―少女のためのゴシック文学館―』の巻頭に付した文章の中で、「ゴシック」を次のように定義づけています。
それは近代の諸思想に付随して現れた“中央からの”“優勢な”“教条的な”“強圧的な”“独善的な”“言説の暴力を批判する”“個の抵抗”の拠り所の一つであり、不利な側・弱い側・マイナーな者たちに、ある美的な誇りを提供してきた。
そして「ゴシック」が主義や思想である以前に、息苦しいシステムの軛(くびき)から自由になるための「生き方」の問題であるという高原の指摘は、今のあなたにとっても重要なものであるはず。
今週のおひつじ座もまた、真っ暗な宇宙空間にあってみずから光を放つ星のひとつになったつもりで、いかに「自己信頼」を実行していけるかが問われていくでしょう。
おひつじ座の今週のキーワード
ルネサンスは「再生」「復活」などを意味するフランス語。