おひつじ座
狂ったわけではありません
トランス状態で踊り狂え
今週のおひつじ座は、「四五人に月落ちかかるおどり哉」(与謝蕪村)という句のごとし。あるいは、知らず知らず一緒になって活動していたものとのつながりに気が付いていくような星回り。
盆踊りについて詠んだもので、英一蝶(はなぶさいっしょう)という狩野派の画家で、歌人でもあった人の絵につけた句。作者もまた、もともと画家としてのキャリアが長かった人ですから、こういうコラボレーションも得意としていたんですね。
「四五人」とあるのは、もとは大勢いたのに、夜が更けるにつれて人がいなくなっていって、最後に残ったのが四五人であるということで、もう月も落ちかかっている訳です。
それでも、このお月さまの下で、つまり、私たちの心の暗かったり、曇ってしまっている部分を、サーっと照らし出されて、思わずこの身が踊りだして止まらない。そうして、踊り狂ってトランス状態になってしまった人たちの熱気というのが、ここで描かれている。
しかも、絵を見ると、実際にそこにいるのはどう見ても三人なんです。つまり、そこに付加されている「一、二人」というのは、ともに踊っている先祖であり、ここでは生者と死者が混然一体となっている、この世の真実相が示されているのではないでしょうか。
22日夜におひつじ座から数えて「遠くて近いつながり」を意味する11番目のみずがめ座で迎える満月から始まっていく今週のあなたもまた、意外なところで自分に寄り添い力を与えてくれているものの存在を感じていくことができるかも知れません。
羊水呼吸する胎児たちは夢を見るか
胎児は生後三か月もすると、身長はわずか4センチながらも一人前に舌なめずりを始め、羊水に舌つづみを打つのだと言います。
そして来る日も来る日ものどを鳴らしてこれを呑み続け、さらには胸いっぱいに吸い込んでしまう。肺の袋に羊水を流し込んでは、それを吐く。胎児のこの「羊水呼吸」は、それ以後、出産に日までえんえんと続けていくのだそう。
その姿は、どこか太古の海を遊泳した魚類のエラ呼吸を思わせはしないでしょうか。そしておそらく胎児は、出産時に脊椎動物の上陸劇を再現しているのであり、羊水呼吸を始めた頃から見始めた、そうした地球上の生物進化の夢とともにすくすくと育ち、やがて地上に生まれてくる頃にはその一切を忘れてしまうのです。
今週のおひつじ座もまた、いつの頃からか自分の傍らにあった夢や思いを、改めてすくいとっていくことがテーマとなっていくでしょう。
おひつじ座の今週のキーワード
生物進化の夢は誰も止めることはできない