おひつじ座
率直に真実を語ること
美しい怒り
今週のおひつじ座は、「握りつぶすならその蝉殻を下さい」(大木あまり)という句のごとし。あるいは、くすぶっていた思いを鋭く切り出していくような星回り。
昔から蝉の抜け殻のことを句や歌で詠む際には雅語の「空蝉(うつせみ)」が使われてきましたが、掲句では「蝉殻」という素朴な表現が用いられ、句がストレートな口語となっています。
この句の主人公が向き合っているのは、蝉の抜け殻を粗末に扱っている人なのでしょう。そしてきっと、主人公にとって蝉の抜け殻はとても大切なものであり、だからこそ、それを台無しにしている相手に対して、主人公は怒っているのです。
言葉を荒げる訳ではなくても、それは句を通して確かに伝わってくるはず。では、その怒りは一体どこから湧いてくるのか。それは自然が生み出した、美しく繊細なものを台無しにしていることであり、当事者のそのあまりの自覚のなさでしょう。
そうして、ここでは主人公は怒りつつも蝉の抜け殻の美しさを讃えており、讃えつつも決して怒りを抑えこむことをしていません。そのこと自体、蝉の抜け殻の造形と同じくらいに美しい。そう感じはしないでしょうか。
27日におひつじ座から数えて「感情の先鋭化」を意味する8番目のさそり座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、下手にゆるんだり、手加減してしまうことなく、自身の切実な思いや、責任の訴えを然るべき相手に伝えていくことになるかも知れません。
出し忘れた手紙はないか
言葉が足りなかったり、言いたいことが言えないまま相手と別れて、それっきりになってしまうといったことは、誰しもが一度は体験したことがあるはずです。時には、そうして思いを遺した相手が夢のなかにまで現れることだってあるでしょう。
そして、今のあなたの中にも、さながら解きそこなった宿題や、ついポストに投函できないまま机の中にしまいこまれた手紙のように、ずっと心に引っかかり続けている未消化な思いがあるのではないでしょうか。
今週はおひつじ座にとって、そんな自分がやり残した仕事を、どんな小さなことであれ、ひとつひとつ向き合って片づけ、また誰かに届けていくタイミングとなっていくはず。
少しでもそんな心当たりがあるならば、適当に流して後で後悔を深めるより、できる限り細心の注意を払ってそれらを取り出し、形にして相手に差し出していくべし。
今週のキーワード
恐れなき発言