おひつじ座
発光する彗星のごとく
夜から夜へ
今週のおひつじ座は、チャルメラを鳴らしてリヤカーをひく屋台車のよう。あるいは、不要な思案が消えて、歩みに躊躇がなくなっていくような星回り。
かつては、夜の繁華街を歩いていれば大抵どこかしらにリヤカー屋台のラーメン屋がいて、「チャラリ~ララ、チャラリラリリ~」というチャルメラのラッパを吹きながら街を流していたものでした。
暗く寒い冬の夜道に灯りをともし、湯気を立たせて客を待つその姿にはどこか人をほっとさせるやすらぎがあったと同時に、子どもの頃は耳慣れない音がいつも突然聞こえてくる不自然さも相まって、どこか知らない世界からやってきた“コワイ人”のようにも感じていました。
彼らはふっと現れては、朝が来る前にいつの間にか消えてしまいましたから、どこかで夜から夜へと次元をまたいで屋台を引いているようなイメージを持っていたのかも知れません。
26日(木)におひつじ座から数えて「お役目」を意味する10番目のやぎ座で日食新月を迎えていく今週のあなたもまた、誰かに自分を幸せにしてもらうためではなく、ただ自分を必要としてくれる人たちのために。
そんな屋台車をひくチャルメラおじさんの姿と、どこか重なっていくところが出てきそうです。
神の二つの型
日本の神々というのは主にふたつの型が結びつくことから成り立っていて、ひとつは人間世界の中心部に鎮座していて、大きな神社のご神木や鎮守の森のように、共同体の価値を守り秩序を維持する働きをしています。
そしてもうひとつの型が、人間世界の外側からやってきては、手垢のついた価値体系に組み込まれていない非人間領域の力を内部に運び込んでくる役目を担っています。
この二つ目の型の神は、ひとつ目の型の神のようにどこかに常住することがなく、時を定めて出現し、役目を終えると人間世界の外に去って行ったのだと言います。こうした神々はしばしば異形の姿で象られ、「鬼」とも呼ばれてきました。
その意味で、夜の街でチャルメラを吹いて屋台を引いていたラーメン屋さんも、現代における鬼であり、来訪神のひとつだったのかも知れません。
いずれにせよ、今週のあなたもまた、世間の常識や古い価値観の埒外にある存在として振る舞っていくくらいでちょうどいいでしょう。
今週のキーワード
異質な力そのものとなること