おひつじ座
耳を澄ませば
ことばを待つこと
今週のおひつじ座は、「話しあい」の代わりに「黙りあい」を試みていくような星回り。あるいは、騒がしい頭の中をいったん空っぽにして、そこに新鮮な息吹きを吹き込んでくるのを感じていこうとすること。
現代人が本当に失ってしまったのは、「話しあう」時間ではなく「黙りあう」時間の方ではないでしょうか。
それができたとき、私たちは余計な空気の読みあいや、過剰すぎる人生相談からも解放されて、その数倍の‟ことば”を聞き分ける機会を持つことが出来るはず。
逆に普段から‟ことば”を聞き分けることもせず、そのまま頭の中に張り付けてしまっている人というのは、いつしか自然に生気にみちたエロティックな生に入っていくこともできなっていくはず。
つまり、そうしてみずからの人生を語る言葉を喪失していく訳です。
おひつじ座の人たちにとって、自分の星座であるおひつじ座で14日(月)に起こる満月から始まっていく今週は、いつも以上に自分の内側を空にして、そこに生まれた沈黙に耳を澄ませていく必要に迫られていくことになりそうです。
4分33秒
例えば、ジョン・ケージが1952年に発表した「4分33秒」という無音音楽の演奏などは、そうした「黙りあう時間」をひとつの作品にまでして打ち出した貴重な好例と言えます。
音楽より沈黙を、書籍より空白を。
頭の中で反響している無意味な会話や雑音をひとつひとつ消し去り、根気強く沈黙に向きあっていくことで、次第にいつも眠っていたこころの真実が少しずつ、断片的に語られ始める。
その間、周囲の人や家族や友人たちが「何をしているの?」と、ちょっかいをかけてきたり、やたらと話しかけてくるかも知れません。
しかし「やって当然」のことや、「言って当たり前」のことを何ら疑問を覚えずやり続け、自動返信メールのように返し続けていくということは、やはり人間の想像力への侮辱に他ならないのです。
その意味で今週は、いつもなら当然言うべきところをあえて語らず、すぐ行ける距離をあえて遠回りしていくくらいでちょうどいいでしょう。
そうしてこそ、沈黙から‟ことば”が生まれてくる瞬間に気付くことが出来るはずです。
今週のキーワード
澄ます前には耳掃除