おひつじ座
破顔と余白
宇宙的笑い
今週のおひつじ座は、「東京に破顔の千年樫ありき」(夏石番矢)という句のごとし。あるいは、思わず笑ってしまうような余白に開かれていくような星回り。
簡単に解釈すれば、東京のような極めてモダンで人工的な都市にも、周囲に見えるすべての建造物よりも古くからそこに在るカシの巨木があるじゃないか。思わず笑ってしまう、という意味だろうか。
大都市の東京にあえて太古から日本人の信仰の対象とされてきた巨木を見出し、その矛盾を「破顔」という言葉でつないだところなどは、掲句の面白いところであり、おひつじ座の人の持つちょっとセンチメンタルで宇宙的な感性ともどこか相通じているように思います。
また、「千年」という巨木が背負う歴史の持つ重みと、それを見出した生身の自分の「破顔」の軽みの対比もまた、ただ無鉄砲なだけという訳ではないおひつじ座の存在者としての厚みのようなものがよく表れています。
23日(金)に太陽がおひつじ座から数えて「メンテナンス」や「健康」を意味する6番目のおとめ座の季節に入っていく今週は、どうしたら弾けるような笑顔を取り戻していけるのかということを自分なりに確かめていくことになるでしょう。
不穏な気配
例えば、あなたが最後に心から笑ったのはいつのことですか?
もしそれがすぐに思い出せないくらい前のことならば、ここ最近、あなたの脳内には不純な動機や破廉恥な妄想が足りていなかったのでしょう。
今さら真面目な顔をしたってダメです。おひつじ座というのは、どこかでたらめなことを考えては、奇妙な振る舞いをしていると人に笑われているような時が、いちばん生き生きしているのですから。
なぜそういう時に生き生きしてしまうのか。
それは、普段言いたくても言えないこと、現わそうとしても現わせないことが、自分と世界とのあいだの「余白」の中から突如としてバッと飛び出してくるからなのだと思います。
余白のところは、別に「千年樫」に限らず、裂け目でも断崖でも、荒れ寺でも夢魔の棲み家でもいいんです。だいたい、他の人は気にもしていなかったり、そもそも見えてもいなかったり。でも、こちらでじっと見ていると、不意にこみあげてくるものがある。
物であれ人であれ、そういう不穏な気配のするところに今週あなたは惹きつけられていくはずです。
今週のキーワード
狂気の沙汰