おひつじ座
無意識からエスへ
「田打ち」時代としてのおひつじ座天王星期
今週のおひつじ座は、「生きかはり死にかはりして打つ田かな」(村上鬼城)という句のごとし。あるいは、糸を紡ぐようにして今後の方向性を整えていくような星回り。
「田打ち」は田の土を起こして柔らかくして、田植えに備える作業のこと。
今は耕運機などの機械を用いるために楽になりましたが、かつては極めて重労働であり、それが先祖代々にわたり、生き代わり死に代わりしつつも、毎年欠かすことなく行われてきたことで農作地は守られてきた訳です。
来週3月6日(水)に天王星がおうし座に入ることで、ついに約7年間のおひつじ座天王星期を終えることになりますが、この7年間はおひつじ座のあなたにとってまさに「生きかはり死にかはり」してきた激動の時代だったのではないでしょうか?
永遠とも思える時間も、いつかは終わりがくるもの。いまはキツい田打ちの作業を終わりを迎えつつある中、いよいよ田植えに向けて本格的に意識を切り替えていく時なのだとも言えます。
この7年間を生き延びてきたあなただからこそ作り出していけるものがきっとあるはず。ひとつの大きな節目を目前に、今週はよくよく自分のこれまでを振り返っていくといいでしょう。
es blitzt
鉄血宰相として知られ、19世紀ドイツ一帯をまとめて統一を実現させたビスマルクには非常に興味深いエピソードがあり、それは家族との会話として記録された次のような言葉の中に端的に表れています。
「私はしばしば素早く強固な決断をしなければならない立場になったが、いつも私の中のもう一人の男が決断した。たいてい私はすぐあとによく考えて不安になったものだ。私は何度も喜んで引き返したかった。だが、決断はなされてしまったのだ! そして今日、思い出してみれば、自分の人生における最良の決断は私の中のもう一人の男がしたものだったことを、たぶん認めねばならない」(互盛央、『エスの系譜』)
なんと、鉄血宰相としての重要な判断は、自分が考えて決断したのではなく、「自分の中のもう1人の男」がしたと言っているのです。
つまり、ビスマルクにおいては、「私が考えるich denke」という時の“考え”とは自分が意図的に案出したものではなくて、まるで「稲妻が走るes blitzt」ように自然と思い浮かび、時にはその内容に自分自身でも戸惑ってしまうような代物だったという訳です。
今週のあなたもまた、これまでのみずからの決断は「私ich」ではなく「それes」がしたのだと自然に思えるくらい、意識を研ぎ澄ましていきたいところ。
今週のキーワード
自分ではないものを自分の中に見つけていくこと