みずがめ座
ひとつの終わりを迎えていくために
予感と裏付け
今週のみずがめ座は、「幼年の日の輝きの茅花かな」(鈴木貞雄)という句のごとし。あるいは、自分の幼年時代の終わりを告げ直していくような星回り。
「茅花(つばな)」はイネ科の多年草で、野原や川原などに群生し、春先に槍のように細い鞘に白い花穂を包む。梅雨も間近になってくると、南風にのって茅花の穂絮が飛び去っていくが、掲句の茅花はまだそうして飛び去っていく前の、まだささやかな鞘に包まれている頃のものだろう。
アーサー・C・クラークが『地球幼年期の終わり』で描いてみせたように、事実として「幼年期」というものはある日突然に終わってしまうものだけれど、少なくともその予感は与えられている。ただその雲をつかむような予感の裏付けがないだけなのだ。
ロケットに乗って宇宙へと進出した人類だって地球にそう促されていたからで、宇宙から振り返ったガガーリンが「地球は青かった」とつぶやいた瞬間に、地球の幼年期は終わりを迎えたのだともいえる。
今週のあなたもまた、すでに予感を与えられている終わりを、何らかの裏付けを得ることできちんと終わらしていくことになるでしょう。
「うつろい」
今週チューニングしておきたいのは、あなたの中の「うつろい」の感覚とも言えるだろう。
これは「ウツ(空)」という言葉を語幹として生まれた言葉で、空疎な状態になにかがやってきて移っていくことをいう。ついでに言えば、そこでは「移る」だけでなく「写り」や「映り」も起こっており、その情報の中で「うつつ(現)」が微妙に移り変わっていく。
そして自分もまた変わっていく。完璧なオリジナルがどこかにあって、定期的に元通りに復元していこうとするのではなく、時のうつろいとともに自分もうつろい、そこで生じるゆがみやほころびを味わい愛でていく。
そこでは、生き続けるということは何度も生まれ変わっていくことにほかならない。 そのきっかけを、今週つかんでいけるといいのですが。
今週のみずがめ座へのキーワード
「地球は青かった」