みずがめ座
生きやすさを選択する
水温む
今週のみずがめ座は、「水温む鯨が海を選んだ日」(土肥あき子)という句のごとし。あるいは、心地よく生きられる居場所を選んで、やさしさに身を浸していくような星回り。
冬が終わって春が近づいてくると、まず川や湖の水があたたまってきてくるのが自然界の決まりですが、掲句はそれを「海」で詠んでいるところが異色です。
人間と同じほ乳類の鯨は、進化の過程の中であえて海を自分の生きる世界として選び取った。それは、こんな風に水が温まって、自分のなかの生命が躍動する気配を感じた日だろうか。
作者はきっとそんなことを思って、この句を詠んだのでしょう。鯨もそうしたように、人もまた自分が生きやすい場所で生きればいいのです。
今週は自分を生かそうとしてくれる、優しさという「海」を全身で感じながら、ひとつの決断を下していくことができるかもしれないですね。
弱さを前提に
イスラム教の預言者マホメットの言行録ハディースに次のような箴言があります。
「力強いとは、相手を倒すことではない。それは怒って当然というときに、心を自制する力を持っていることである」
これは強さのすすめではなく、人間は自分で思い描くほど強い存在ではなく、弱者であることを前提にせよ、という話です。支えやつながりを持たない者は、一時的に強がることはできても、決して長続きしません。
そういう意味では、上で言う「海」とは、弱者である自分を支えてくれる存在であり場なのだとも言えるでしょう。今週は改めてそういう支えのある方へ、足を伸ばしていくことです。
今週のみずがめ座へのキーワード
やさしさの海