みずがめ座
感覚と意識の解放
芹の水を通して
今週のみずがめ座は、「芹の水少年すでに出で発ちぬ」(山口和夫)という句のごとし。あるいは、いつの間に貼られていたレッテルを破り、どこかに置き去りにしてきた自分自身を見つけにいくような星回り。
「芹」というと春の七草のひとつ。まだ冷たい早春の水の清らかさによって、芹の色彩の鮮やかさがより一層引き立ちますが、かつてそこに影を落としていた「少年」はもう既にいないのだと句は告げています。
この「少年」とは作者自身のことであると同時に、かつてあった純粋な子供時代からどこかへ「出で発」っていったすべての人たちをも含んでいるのでしょう。出で発つ先や、その動機付け、成れの果てはさまざま。
しかし作者はこの句を詠んだときにすでに70代ですから、おそらく報われずに終わったかつての同胞たちの魂を思ったのではないでしょうか。
つまり、この句は死者をいたむ挽歌であり、清冽な「芹の水」を通して今やすっかり見失ってしまったものを幻視せんとする歌なのです。
今週のあなたもまた、かつて後にしてきた田舎や、素朴だった自分自身の姿が幻影のように脳裏にチラついて離れないかもしれません。
そして、そうであればあるほど、はまりこんでしまったカテゴライズや、いつの間にか自分で自分につけていたレッテルから脱していく必要があるのだと思います。
グルジェフの「ダブルアテンション」
それは現実の自分とは別の、もうひとりの自分に“見られている”という体験。そういう体験を通して意識を“集中”するというより、“統一”していくことで、より落ち着いた状態で感覚を研ぎ澄ませていくのです。
これはグルジェフ(1866~1949)という神秘思想家が「ダブルアテンンション」という言葉で提唱していることでもあるのですが、なにも難しい話ではありません。相手の話を聞きながら、自分の感情や感覚の変化にも注意してみるといったことであったりします。
ひとつの感覚に集中しきるよりも、よりインタラクティブに注意が向かっていくようにしていくことで、より高い意識状態にもっていくことができるのです。今週はぜひ実践されてみるといいでしょう。
今週のキーワード
インタラクティブ